邂逅かいこうする二人
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「――というわけなんです」
ここは学院長室。
気絶させたフーケをタバサの使い魔のドラゴン『シルフィード』で拘束し、馬車にぐるまを使ってえっちらおっちらと学院に戻ってきたのが15分ほど前。
今はルイズが主おもとなって、今回の事件の詳細をオールド・オスマンに報告しているところである。
ちなみにフーケを気絶させた直後、無駄に心配させるなとかそういうことは早く言えとかでルイズにどつかれたわけだが。
遠心力の乗ったタバサの杖の一撃は流石に痛かった。星が見えたぜ。
「ふむ……、ミス・ロングビルが土塊のフーケじゃったとはな……。
美人だったもので、何の疑いもせずに秘書に採用してしまったんじゃ」
大丈夫かこの爺ジジイ。
ルイズが、呆れたように尋ねる。
「いったい、どこで採用なされたんです?」
「街の居酒屋じゃよ。
私は客で、彼女は給仕をしておったのじゃが、ついついこの手がお尻を撫でてしまってな」
こんなんがトップで、大丈夫なのかこの学院。
とりあえず、エロジジイで呼び方決定していいよな?
「で?」
どうでもよさそうな声でキュルケが促した。
「おほん。
それでも怒らなかったので、つい秘書にならないかと、誘ってしまっての」
駄目だこいつ。早く何とかしないと。
思わず何処ぞの新世界の神みたいな思考になった。
タバサも珍しいことに半眼になって、心底理解できないといった感じの口調になって呟く。
「なんで?」
瞬間、オールド・オスマンが目を剥いて怒鳴った。
「カァ――ッ!」
剣幕は凄まじかった。
だが、先ほどまでの自白の所為せいで威厳は皆無だった。
それからこほりと一つ空咳をし、真顔になって言う。
「おまけに魔法も使えるというもんでな」
「死んだ方がいいのでは?」
ぼそり、と隣に控えたコルベール先生が呟いた。
うん、俺もそう思った。
ルイズやキュルケ、タバサもうんうんと頷いている。
オールド・オスマンはまたも咳払いをすると、コルベール先生のほうを向いて重々しい口調で言った。
「いま思えば、あれも魔法学院に潜り込むためのフーケの手じゃったに違いない。
居酒屋でくつろぐ私の前に何度もやってきて、愛想よく酒を勧める。
魔法学院学院長は男前で痺れます、などと媚を売り売り言いおって……。終いにゃ尻を撫でても怒らない。
惚れてる? とか思うじゃろ? なあ? ねえ?」
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