邂逅かいこうする二人
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「ダーリン? そんなとこで何やってるの?」
とキュルケが背後の扉から戻ってきた。
下を見れば、フレイムも扉の端から顔を覗かせている。
鍵、開けれないか? と尋ねてみようとした時。
「いや、これからちょっと今日のことの復習をしようと思ってな。
ルイズの邪魔にならないよう、屋上に出ようと思ってんだが、そこの火蜥蜴サラマンダー、借りていいか?」
勝手に口が動いて、わけのわからないことをほざきやがった。
んな、と出そうとした声も出てこない。
「へ? ええ、いいわよ別に。フレイムー」
きゅるきゅると、扉から完全に体を見せたフレイムが視界に入らない。
首が動かせない。腕も動かせない。
どーなってやがんだ。
「これからダーリンが勉強会するみたいだから、体を冷やさないようにしっかり暖めてあげて。いいわね?」
よくねえ、と叫べない。
きゅる、と一頷きしたフレイムをその場に残し、頑張ってねー、とキュルケが部屋に消えた。
なんだなんだと思いながらも、体は勝手に歩みを進め、階段へと歩んでいく。
後ろにフレイムを従えながら。
この場所に来るのは、これで二度目だっただろうか。
フレイムにドアをくぐらせると、あの夜の様にばたりと後ろ手にドアを閉めた。
"俺"はそのままドアの横へと腰を下ろし、右手でデルフリンガーを抜き、左手でナイフを持って。
手のルーンが輝き始めて、ようやく体の制御が戻ってきた。
とりあえず、さっきまでの自動歩行の原因らしきヤツを問いただしてみる。
「さっきのは、お前のしわざか? ナイフ」
「ありゃ。驚かねえのか? 小僧」
不思議そうな声でナイフが言った。
否定しなかったってことは、黒か。
「いや、驚いてたぞ? 階段を上る頃ぐらいまでは」
単に、心当たりがあったから落ち着いただけだ。
「立ち直りのはええこったね、相棒」
「順応力があるって言え」
それにまあ、土人形ゴーレムと戦ってた時にこのナイフ自身が言ってたからな。
"操れねえ"ってさ。
……ってアレ?
「おいナイフ」
「なんだ」
「お前、俺は操れないんじゃなかったのかよ?」
確か昼間はそう言ってたはずなんだが。
「そのはずだったんだけどな。まだ色々確認する必要があるから、はっきりとは言えんよ」
「なんだそりゃ」
「よーするに、今夜は実験タイムっつぅわけだよ、相棒。
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