森に響く凱歌
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!?」
ミセス・シュヴルーズが、驚いた声をあげた。
その視線の先で、ルイズが、杖を顔の前へと掲げていた。
ぽかんと顎を落としながら、その光景を俺は見つめていた。
「何をしているのです! あなたは生徒ではありませんか! ここは教師に任せて……」
口をへの字に曲げて真剣な眼差しになったルイズが、魔法を使えないはずのルイズが、巨大土人形アレを使いこなすような魔法使いメイジに挑むと言っている。
「誰も掲げないじゃないですか」
唇をきっ・・と結んでそう言い放ったルイズを見ながら、頬を抓ってみた。
痛い。
どうもこれは、夢じゃないらしい。
タバサの向こうで、同じように杖を掲げたルイズを見て頬を抓っていたキュルケも、しぶしぶと杖を掲げた。
「ツェルプストー! きみは生徒じゃないか!」
今度はコルベール先生が、驚いたらしい。
「ふん。ヴァリエールには負けられませんわ」
つまらなそうにキュルケが言う。
まあ、キュルケならそう言うだろうな。
というか、俺はやっぱり強制参加か?
まあそうなんだろうな、とため息をついていたら、隣に立ったタバサも同じように背丈より大きな杖を掲げていた。
その顔は相変わらずの無表情で、これまた相変わらず何を考えているのかがいまいちよくわからない。
分からないが、なんとなくわかるような気はする。
「タバサ。あんたはいいのよ、関係ないんだから」
今まで、何の関係もないハズの俺でさえ二回も助けてもらってるんだ。
自分から危険なところへ飛び込むと言ってるキュルケを、放っておくとは思えない。
「心配」
ほらな。
キュルケは感動した面持ちで、ルイズは唇を噛み締めながら、それぞれタバサを見つめてお礼を言った。
「「ありがとう……。タバサ……」」
こいつは困ってる奴とか、放っておけない性格なんだろうな。いい奴じゃないか。
そう思いながらタバサを見ていたら、その艶つやのいい唇が、また開いた。
「それに「そうか。では、頼むとしようか」」
セリフの途中で、ほっほと笑っていたオールド・オスマンが口を挟んだ。
「オールド・オスマン! わたしは反対です!
生徒たちをそんな危険にさらすわけには!」
焦った調子のミセス・シュヴルーズがさらに割り込む。
「では、君が行くかね? ミセス・シュヴルーズ」
タバサの方を見てみたが、その口はもう開く様子はなかった。
「い、いえ……、わたしは体調がすぐれませんので……」
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