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fate/vacant zero
森に響く凱歌
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ていたロングビルさんが、茂みの中から姿を見せていた。


「ミス・ロングビル! フーケを見かけませんでしたか?」


 ルイズがそう尋ねたが、ロングビルさんは首を横に振るばかり。


「ってことは、土人形ゴーレムの中、とか?」

「そんなことは普通しない、……はず」


 俺の呟きを否定するタバサの言葉も、どこか歯切れが悪い。


 なんせ、相手は怪盗だ。

 どんな突拍子のないことをやらかすか、分かったものではない。



 念のためにタバサが、土人形ゴーレムに向かって、杖を一振りする。

 しかし、なんでこんなモンがこっちの世界に? と腕の中の『破壊の杖』を見る。



 いや、見ようとした。



 腕の中に、『破壊の杖』は無かった。

 正確には、横から伸びてきた白い手に抜き取られていく最中だった。


 「え」とその手の付け根の方を見ると、そこにはロングビルさんがいつもの笑顔で佇んでいた。

 その手には、『破壊の杖』が無造作に握られている。


「ロングビルさん?」


 怪訝に思ってその顔を見つめると、ロングビルさんはすっと二歩下がり、俺たちに向かって『破壊の杖』をつきつけた。


「ご苦労様」



 ――いや、さすがに想定外だったね。







「ミス・ロングビル!? どういうことですか!」


 未だに立ち上がれていないルイズが叫ぶ。


「さっきの土人形ゴーレムを操っていたのは、わたしよ」

「……つまり、あなたが」


 タバサの呟きを引き継いで、ロングビルさんが告げる。

 その顔のメガネはいつの間にか外されており、優しそうな光を湛えていた目は吊り上がり、猛禽類のようなギラリとした目つきに変わっていた。


「そう、『土塊つちくれ』のフーケ。
 さすがは『破壊の杖』と言ったところかしらね。
 私の土人形ゴーレムがああも見事に砕かれるなんて!」


 ロング……、もといフーケは、さっき俺がしていたみたいに『杖』を肩に掛け、こちらに狙いをつけようとしていた。

 タバサが杖を振ろうと動きかけたが、瞬時に照準が合わせられる。


「おっと、動かないで。『破壊の杖』が、ぴったりとあなたたちを狙っているわ。
 ──全員、杖を遠くに投げなさい」


 ルイズとタバサが、杖を放り投げた。

 どうやら魔法使いメイジは杖を失ってしまうと、魔法を使えなくなるらしい。


「そこのすばしっこい使い魔君は、そのナイフと折れた剣を投げなさい」


 バレてるか。

 ってそりゃバレるよな、あんだけ公然と使っちまっちゃ。

 言われたとおり、
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