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fate/vacant zero
森に響く凱歌
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し。

 喋る武器ってこんなんばっかりか。



「なんだよ!」


 逃げる足と思考回路は休めずに、そのままナイフに話しかける。

 器用だな、俺!


「もしやとは思うんだが、お前、まさか『使い手』か?」


 またそれかよ。

 なんなんだ『使い手』って?



 ああくそ、デルフリンガーからもっとしっかり聞いときゃよかったか。


「よくは分からんけど、前にもそう言われたことならあるぞ!」

「チッ、やっぱりか。道理で、操れねえわけだ」


 ちょっと待て、操るってなんだ!?

 っていうか、んな物騒なもん渡したのかタバサ!?


「非常手段のつもりだったんだよ、小僧も確実に助かるような、な。
 まあ、操れねえんじゃどうしようもねえんだが……ッ」



「なんだそりゃ! ってか今、俺、声に出してたか?」

「話は後だ、来るぞ!」


「へ?」

 後ろをちょっと振り向いて。即、後悔しそうになった。


 こまめに曲がるのを忘れていたのか、すぐそこまで迫ってた土人形ゴーレムが拳を今にも振り下ろそうとしていた。

 唐突に直角に曲がることでなんとかそれを回避したものの。


「埒らちがあかねえ!」


 このナイフじゃどう頑張ってもアレは切れそうにねえし。

 ああもう、なんかアレをぶっ壊す手は無いか!?


「しゃあねえ、少しだけ足止めするぞ。
 俺をあの土人形ゴーレムに向けて、今から俺が言うとおりに繰り返せ!
 いいか、一言一句間違うなよ!」



 無駄に焦っていると、いきなりナイフがそんなことを言い出した。


「なんだそりゃ! つーか、何やるつもりだよ!」



「魔法だよ!」

 魔法かよ!



 そんなもんで











 え、魔法?


「ちょっと待て俺はそんなもん「その為の俺だ! いいからやるぞ!」わ、わかった!」


 使えねえ、と続けようとした俺のセリフを、自信たっぷりの声でぶち破ったそいつに、きっと俺は乗せられたんだろう。


「行くぞ、小僧! 『Luna猛れ Magnus膨大な Ventosus大気よ』!」

「ら、『Lanarラナー Megnosメグノス Bentarsusベンターサス』――!」


 そう叫んで、ナイフを振り上げた瞬間……、目の前の空間が歪み、土人形ゴーレムの顔面へと無形の何かが吸い込まれるのを、肌が理解した。











「――嘘」



 たった今、己の使い魔が叫んだルーンは。

 あの土人形を、僅かなりとも揺るが
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