森に響く凱歌
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は、『破壊の杖』の代価を支払えるのですかな!」
「わたくし、家を建てたばかりで……」
よよとシュヴルーズ先生が床に崩れ落ちた時、才人はなにやら威厳溢れる老人が宝物庫に入ってきたのが見えた。
オスマン老である。
なんか仙人みたいだな、というのが才人の第一印象だった。
「これこれ。女性を苛めるものではない」
ギトー先生が、その仙人(仮称)に詰め寄る。
「しかし、オールド・オスマン!
ミセス・シュヴルーズは当直だというのに、自室で寝こけていたのですぞ!
責任は彼女にあります!」
興奮しているギトー先生を見つめながら長いヒゲを弄っている仙人(仮)、オールド・オスマンと呼ばれた老人の視線が、少し強くなった気がした。
「ミスタ……、なんだっけ?」
大丈夫かこの人、というのが第二印象になった。
「ギトーです! お忘れですか!」
律儀にずっこけて体勢を立て直したギトー先生が怒鳴る。
いま、その場で滑ったぞこの人。関西人か?
いや、異世界だけどさ。
いや閑話休題それはともかく、ギトー先生の剣幕もどこ吹く風と、オールド・オスマンは続けて言った。
「そうそう、ギトー君。そんな名前じゃったな。
君はどうも怒りっぽくていかん。
……君はミセスに責任があるといったが、さて。
ここ数年間、まともに当直をしておった当直をしたことのあった教師は、この中にいったい何人おられるのかな?」
オールド・オスマンとギトー先生が、集まった教師たちを見回した。
教師たちはお互いの顔を見合わせると、恥ずかしそうに顔を伏せてしまった。
誰も、名乗り出る者はいなかった。
どうもギトー先生は真面目にやっていたらしく、珍しいことに目を点にして呆然としている。
……いちいちリアクションが面白いなこの人。
「これが現実じゃよ、ミスタ・ギトー。責任があるとすれば、それは我々全員なのじゃ。
この中の誰もが――もちろん、儂わたしも含めてじゃが――まさかこの学院が賊に襲撃されるなぞ、夢にも思っておらんかった。
ここにおるのは、殆どが魔法使いメイジじゃからな。
誰が好き好んで虎の巣に飛び込むのかっちゅうわけじゃが……、そこに隙があったわけじゃよ」
オールド・オスマンが壁の穴を睨んだ。
「結果、このとおり。
賊は大胆にも宝物庫を襲撃し、『破壊の杖』を奪っていきよった。
我々は、油断しておったのじゃ。これでは、誰か一人を責めることなど出来はせんよ」
そこまで言った時、感極まってしまったらしいシュヴル
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