土塊つちくれの巨人
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上で叫んだのが聞こえた。
ロープは、残念ながら切れなかったようだ。
ロープそのものが爆発してくれればよかったのだが、世の中そう巧くはいかないらしい。
爆破してしまった本塔の壁には、大きく凹みが出来てしまっていた。
失敗、だった。
呆然と、地面に膝をつく。
「ゼロ! ゼロのルイズ! ロープじゃなくって壁を爆発させてどうするの! 器用ね!」
キュルケが、腹を抱えて笑っていた。
うるさい、言われなくたって失敗したことぐらい自分で分かってる。
「あなたってば、どんな魔法を使っても爆発させるんだから! あっはっは!」
わかってるならやらすんじゃないわよ、なんて喚いたりはしない。
これは、自分で受けた勝負であり……、それに躓つまづいたからと言って、喚わめいたりしてしまっては、格好がつかないではないか。
だから、喚き散らしたくなっている自分を、ぐっと胸の奥へ呑み込んだ。
「さあ、あたしの番ね」
キュルケが、狩人の目をして才人を吊るすロープを見据える。
ロープがシルフィードによって揺らされているにも係わらず、キュルケの表情は余裕のソレを湛えていた。
ルーンを手早く紡ぎ、手馴れた仕草で杖を突き出す。
『火球ファイヤーボール』はキュルケの十八番おはこなのだ。
杖の先から手鞠てまりのようなサイズの火の玉が生み落とされ、火の粉を尾のように曳ひきながら、才人の頭上めがけて矢の如く飛んだ。
ソレは狙い違わずロープを半ばからぶち抜いて、着弾した辺りを消し炭にした挙句に木ッ端微塵こっぱみじんと打ち砕いた。
宙吊りになるための支えを失った才人が、地面めがけて一直線に降ってくる。
ロープの端を握らせていたタバサが杖を一振りし、『空中浮遊レビテーション』を掛けてくれたおかげで、才人は怪我一つ無く地面に軟着陸できた。
それを見届け、キュルケは高笑いをあげた。
「あたしの勝ちね! ヴァリエール!」
と。
フーケは、その一部始終を植え込みの陰から見届けながら、唖然としていた。
本塔の壁には、紛れもなく『スクウェア』を超えたレベルの『抵抗レジスト』が掛かっていた。
このレベルになった『抵抗レジスト』の魔法は、物理的衝撃を伴わない魔法攻撃など、それこそ『スクウェア』のものですら霧散させられてしまう。
……しまう、はずだというのに。
いったいあの魔法はなんだと言うのか?
聞こえたルーンは、紛れもなく『火球ファイヤーボール』のものだった。
だというのに、あの少女の杖か
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