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fate/vacant zero
土塊つちくれの巨人
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うぞ。――始めるわ! タバサ!」


 ルイズが杖を構える。

 キュルケの声で、タバサがシルフィードに指示を出した。



 カンテラの灯りが、才人を吊るすロープが、二人から見えている才人の影シルエットが、ゆらゆらと左右に大きく揺れはじめる。

 遠距離から標的を射抜く魔法は、総じて命中率が高い。

 この程度の距離ならば、何らかの動きがなければ確実にロープを射抜いてしまうだろう。


 揺られる才人はたまったものではないだろうが、そこはそれ。

 自業自得なわけであった。



 だがしかし。

 ルイズにとって、問題とは命中するか否かではない。


 魔法が成功するか否か? コレにつきた。

 ゼロの二つ名は伊達ではないのだ。残念なことに。


 少しでも成功してくれそうな魔法はあるだろうか。

 『風』か、『火』系統で。

 『水』や『土』はダメだ。

 『ドット』に可能な魔法では、この距離を重力に逆らって飛ばして動くロープを切断するなんてことは見えない穴に針を通すより難しい。


 加えて、自分の魔法は何故だか爆発してしまう。

 ならば、やはりここは『火』を使うべきか。



 ルイズはそこに思い至って、キュルケの得意なのも『火』であったことを思い出した。

 同時に、その精度も。


 キュルケは、おそらく『火球ファイヤーボール』を使い、一発で決めてくるだろう。

 失敗は許されない。

 たとえその成功率が、限りなくゼロであったとしてもだ。



 散々悩んだ結果、ルイズも『火球ファイヤーボール』を使うことに決めた。

 どう考えても、縄を切断することの出来る魔法の中で成功しそうなものはそれ以外に思いつかなかった。



 ルーンを唱える時間が、妙に長く感じる。


 もし、失敗したら?

 サイトは、キュルケの持ってきた剣を使うことになる。


 ヴァリエールの誇りにかけても、そのような施しは受けるわけにはいかないのだ。



 わずか二言三言のルーンを呟く間、ルイズはそんな考えに呑み込まれつつあった。

 詠唱を終え、慎重に狙いを定める。


 狙うは、動きの最も小さくなるタイミング。

 左右両端のどちらかである。


 タイミングを合わせ、杖を振り下ろす。

 呪文が成功しているなら、杖の先からは火の玉が飛び出すはずだった。

 だが、ルイズの振り下ろされたそれからは何も生まれない。


 ほんのわずか遅れ、才人の頭上を何かが通り過ぎ、背後、本塔の壁で爆発が起こった。

 才人がその衝撃にもみくちゃにされながら、「殺す気か!」とはるか頭
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