土塊つちくれの巨人
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そして、才人を指差した。
へ? と才人がたじろぐ。
「あはは、それいいわね!」
キュルケがそう笑い、今度はルイズに耳打ちした。
「そうね、それがいいわ」
なんなんだ、といぶかしみはじめた才人を他所に、ルイズも賛同の声を上げる。
そして、三人が一斉に才人の方を振り向いた。
獲物を狙う鷹の目だった。
才人は、激しく嫌な予感がした。
ゆっさゆっさ、ぷらーん。
体が重力に引かれているにも係わらず、俺の足は地面を踏みしめずに、擬音を垂れ流しながらふらふらと上下に揺れていた。
結構楽しい感覚だな、浮遊感。
ってちげえ。
そうじゃねえだろ、俺。
「……おーい。本気か? お前ら」
返事は返ってこない。
まあ叫んでるわけでもないので、単に聞こえてないだけだろう。
もとから、大人しく下ろしてもらえるとは思ってもいなかったから、いいんだけどさ。
なんで俺は縄で縛られて宙に吊るされてるんだろうね。
ぐるぐる巻かれたロープの背中側には、さっきタバサが持ってたカンテラが突き刺さっている。
遥か足下の地面は殆ど真っ黒で、目を凝らしてみてもルイズやキュルケの姿はロクに見えない。
上を見上げれば、塔の屋上と同じ高さぐらいに滞空している影が、星空をバックに羽ばたいている。
タバサが跨またがったあの竜である。
二本の剣をくわえながら、ロープの端っこを持ってくれている、今の俺の生命線だ。
そのお蔭で、上下振動で酔いそうだったりするんだが、まあ命には代えられない。
はやく勝負着けてくんないかなぁ、と思う才人であった。
キュルケとルイズは、その真っ暗な地面から才人を見上げている。
二人からは、上から吊るされカンテラの光をバックにした才人のシルエットが見えている。
かなり見えにくいが、小さく揺れているロープも確認できた。
「いいこと? ヴァリエール。
あのロープを切って、サイトを地面に落としたほうが勝ちよ。
勝ったほうの剣をサイトが使う。いいわね?」
「わかったわ」
サイトを見上げながら、二人はこの決闘(もはや単なる勝負と化している気はするが)のルールの最後の確認をしている。
「使う魔法は自由。ただし、あたしは後攻。それぐらいはハンデよ」
ハンデ、と言われたルイズのプライドはまたも沸騰しそうになったが、力づくでそれをねじふせる。
「いいわ」
「じゃあ、ど
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