土塊つちくれの巨人
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ルイズ。魔法で決闘で、大丈夫?」
"ゼロ"を特に強調しながら、キュルケはルイズを小馬鹿にする。
ルイズは一も二も無く頷いた。自信など、まったくない。
でも、ツェルプストーの女に魔法で勝負と言われた以上、引き下がることなどできようハズもなかった。
「もちろんよ! 誰が負けるもんですか!」
数十分に及んで身動き一つとらなかったフーケの索敵網に、己へと近づく何者かの気配が引っかかった。
フーケは足下にした壁を蹴り、急いで地面へ飛び降りる。
幸い近寄る相手からはまだ距離があり、かつ今夜は新月だ。
多少派手に動いたところで、その動きを捉えることは出来ないだろうとフーケは踏んだ。
地面にぶつかる直前に小さく『空中浮遊レビテーション』を唱え、体の関節を柔軟に使って勢いを殺し。
物音一つ立てず、足跡一つ残さずに、猫の如く植え込みの中へと姿を消した。
フーケが姿を隠して云ウン十秒。
中庭に現れたのは、気合の入っているルイズとキュルケ、本の代わりにカンテラを持ったタバサ、呼吸困難から復旧した才人の四人だった。
「じゃあ、始めましょうか!」
やる気満タンのキュルケ。
「なあ。ほんとにお前ら、決闘なんかするのかよ」
心配そうな才人。
「そうよ!」
イイ感じに気の引き締まったルイズ。
「……」
無表情に、カンテラを見つめて何事かを考えているタバサ。
「そうは言うけど、今日は月、出てねえんだぞ?
まさか、カンテラの灯りだけを頼りにやるのか? いくらなんでも危ねえって……」
空を見上げて、才人がいう。
綺麗だった。星座がどうたらなんてレベルじゃないぐらいに星が多い。
「確かに、怪我するのもバカらしいわね」
「そうね」
そもそもどうしてこういうことになったのかしらね、サイトが優柔不断だからでしょ、と妙に息のあった掛け合いをしながら二人がため息をつきあってる。
しょうがねえじゃねえか、どっちも試してみたかったんだから。
と、反省の色ゼロの才人が内心でぼやいた。
ちなみに内心でいう理由は、口に出したらまた蹴られて呼吸止まりそうだったからである。
ちょっとは学習したらしい。
その時、無言を貫くタバサが動いた。
どうも考えがまとまったようだ。
てくてくとキュルケに近寄り、何事かを耳打ちする。
無論、キュルケに少し屈んでもらった上で。
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