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fate/vacant zero
土塊つちくれの巨人
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ったく視線を逸らさずに、ポツリと呟いた。


「タバサ」


 タバサ、か。

 こいつには一回助けてもらったっていうのに、俺からはろくな恩返しが出来てねえんだよな。

 ていうか、最初にコケさしちまった分を差し引いたらマイナスじゃねえか。


 なんか俺に手伝えることでもありゃあいいんだけど。何かないもんかね。

 どうも借りっぱなしは性しょうに……へ? ぇ、俺?


「えっと、何を?」


 ルイズにしばかれた。

 俺が何をした。って話聞いてなかったのが悪いのか。


 すまん。


 ルイズとキュルケが同時にため息をついた。


「あんたね。そもそも、あんたの剣でモメてんのよ? あんたが決めるのが筋ってもんよね」


 ……そう言われてもな。正直、どちらも面白そうで迷うのだ。

 こんな面白そうな二振りを持ってきてどちらかを選べ、なんて。


 拷問かよ。俺にどうしろってんだ。


「「どっち?」」


 二人が詰め寄ってきた。

 息ぴったりじゃねえかお前ら。


「……その、両方試してみてから、ってのは」


 妥協案を提示してみる。


 とたん、前からトゥーキックを胸辺りに喰らった。

 同時に、後ろからヒールキックを前からの蹴りと同じ高さで貰った。



 げふ。







 ポスリ、と才人の上半身がベッドに沈んだ。


 ぴくぴく痙攣している才人を、二人は揃って放置した。


「ねえ」


 キュルケが、ルイズに向き直った。


「なによ」

「そろそろ、決着をつけませんこと?」

「ああ、そうですわね」


「あたしね、あんたのこと、だいっきらいなのよ」

「わたしもよ」


「気が合うわね」

「ええ、ほんとにね」


 にっこりと、キュルケが微笑んだ。

 ただし目と雰囲気は笑っていない。


 ルイズも、負けじと微笑んだ。

 これまた、まぶしい笑顔だ。


 具体的には、"ゴゴゴゴゴ"と擬音が浮かびそうなくらい。


 二人が、同時に口を開く。



「「決闘よ!」」



 やめとけよ、と言おうとした才人の口からは、こぷ、という変な呼気しか漏れなかった。

 回復にはまだちょっと遠い。


 そんな才人や変わらず本を読むタバサは意識の外に追いやって、二人はさらにヒートアップする。


「もちろん、魔法でよ」


 キュルケが嘲るように告げる。

 ルイズは一瞬怯んだが、すぐに頷いた。



「ええ。望むところよ」


「いいの? "ゼロ"の
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