土塊つちくれの巨人
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は、はん。あんたなんかただの色ボケじゃない!
なあに? ゲルマニアで男を漁りすぎて相手にされなくなったから、トリステインまで留学しに来たんでしょ?」
「言ってくれるわね。ヴァリエール……」
「なによ。ホントのことでしょう?」
ルイズが憤慨している。こういう時は、近寄らないに越したことはない。
ヘタに近寄ったらえらい目に遭うのは、この一週間ほどでよく分かってる。
そんなことよりも、いま俺の手の中にあるこの剣のことの方が先だ。
やっぱり、よく手になじんでる。
昼の店の槍やデルフリンガーもそうだったけれど、俺の手は武器の類と相性がいいらしい。
こうやってただ握っているだけなのに、どうも試し切りをしたくなる。
とはいっても、部屋の中でこんな長モノを振り回すわけにもいかない。
街から帰ってきた時にはもう夕焼け空に青みが掛かっちまってたから、デルフリンガーの試し切りも出来てねえんだよなぁ。
あぁぁああ、はやく明日にならねえかなぁ。
キュルケが持ちかけてきたのがせめて明日の朝だったら、剣を使ったときのこのルーンでどれぐらいのことまで出来るかとか、デルフリンガーやこの剣にどんな力があるかとか、試し放題なのに。
こりゃ、今夜は眠れそうに――どぅわぁあああああああ!?
だだだだだだ――ぼすん! と、なにか柔らかい物に突っ込んだ。
「いってえ……、なにしやがんだ!」
突っ込んだ体勢のまま首だけ後ろに振り向いて、巣の傍らに立ってたルイズに怒鳴ったが、まあ、例の如く無視された。
わかってたさ、こうなるだろうってことぐらい。
キュルケと睨みあったままだったからな。蓄瘴ちくしょう。
いつものように諦めて、首を前に戻す。
どうやら、こないだの女の子にぶち当たった、なんてコメディーにはならなかったようだ。
視界の少し右手、何食わぬ顔で本を読み続ける女の子の姿があって、やっぱり少しだけどきりとした。
そういやこの子、階段でぶつかっちまった時も本読んでた気がするな。
そんなに本が好きなのかね。いや、俺も本は好きなんだけどな。
活字ばかりのを読んでたら眠くなってくるだけで。
さて、剣は折れたりしてないだろうな。
さっき、結構あちこちぶつけ回っちまった気がするんだが。斬れない方向に。
……ごそごそ触った感じ、刀身はちょっとぐらついちまってるけど、これぐらいなら問題ないだろ。
しかし、ルイズたちもよく飽きねえな。
……おいおい。ルイズはともかく、この子はそういうタイプだとは思えないんだけど。
ていうか、友
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