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fate/vacant zero
土塊つちくれの巨人
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 ルイズとキュルケが、テーブルの横でお互い睨み合っている。

 才人は"ニワトリの巣"に座りこみ、キュルケの持ってきた青い剣に見惚れていた。

 タバサもいる。

 二人が放つ剣呑な視線も才人の感歎のため息も、全く気に掛けずにベッドに座り込んで本を読んでいる。



「どういう意味? ツェルプストー」


 腰に両手を当て、夕食後の時間を見事にぶち壊してくれた不倶戴天の仇敵を睨みつける。


「だから、サイトが欲しがってる剣を手に入れたから、そっち使いなさいって言ってるのよ」


 よりによってこのバカ女、昼間に人の後ろをこそこそついてきた挙句、サイトが欲しがってたあの青い剣を買いつけたらしい。

 悠然としてそういうキュルケの目は、どう見ても「あの程度の剣も買えないの?」と語っていた。

 腹立つわね。


「おあいにくさま。
 使い魔の使う道具なら、もう間に合ってんのよ。

 ねえ、サイト」


 "ニワトリの巣"に座ってさっきから一言も話さないでいるサイトの方を振り向いて。


 ピキ、という音がこめかみの辺りからした。

 なんでそんな真剣な目でそんな駄剣みてんのよこの犬は!


 心の中で叫びながら思いっきり後ろ頭を回し蹴って、キュルケにそのまま向き直る。

 サイトが勢いで"ニワトリの巣"から飛び出して、ごろごろ、ぼすんと言う音がした。

 ベッドに激突したらしい。朝食ヌキかしらね。



「嫉妬はみっともないわよ? ヴァリエール」

「嫉妬ですって? 誰が嫉妬してるのよ!」

「だってそうじゃない。
 サイトが欲しがってた剣を、あたしがなんなく手に入れてプレゼントしたもんだから、嫉妬してるんじゃなくって?」



「誰がよ! やめてよね!
 ツェルプストーの者からは豆の一粒だって恵んでもらいたくない! それだけよ!」


 目を細めたキュルケは、視線をずらしてサイトの方を見る。


「そうは言ってもね。ほら、見てごらんなさい?
 サイトはあたしの剣に夢中じゃないの。
 知ってる? この剣を鍛えたのはゲルマニアの錬金魔術師シュペー卿だそうよ?」


 うっさいわね、それがどうしたってーのよ。


「ねえ、あなた。よくって?
 剣も女も、生まれはゲルマニアに限るわよ?
 トリステインの女ときたら、このルイズみたいに嫉妬深くって、気が短くって、ヒステリーで、プライドばっかり高くって、どうしようもないんだから」


 言ってくれるじゃないの……。

 ぎり、と音を立てながら、キュルケを睨む視線を強くする。


「なによ。ホントのことじゃないの。」


 なんですって?



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