土塊つちくれの巨人
[12/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。
ギーシュの野郎の『戦乙女ワルキューレ』が蟻アリに思えるほどのフザけたデカさとなったそれが、こちらへと向かって歩いてきていた。
「きゃぁああああああああああ!」
キュルケが悲鳴をたなびかせて逃げ去っていく。
俺を結ぶ縄もそのままに、ほうほ……っておいィ!?
「ちょ、こら! 逃げるんならこれほどいてから逃げてくれよ!」
あっと言う間に逃げ去ったキュルケにそれが聞こえるわけもなく。
かわりに反応したのは、土人形だった。
ずしん、と迫り来るそれは、あまりにも圧倒的で。
縛られていなければ好奇心が優先されたのだろうが、こちとら動けない。
生存本能を最優先にして、しゃくとり虫みたいにうねうねともがいてみるものの、あわてているのも手伝ってろくに進まない。
さらにずしん、と大地が揺れる。
やばい、と諦めかけた時、我に返ったルイズが駆け寄ってきた。
「な、なんで縛られてんのよ! あんたってば!」
「縛ったのはお前らだろうが!」
……あんまり我に返ってないかもしれない。
すでに土人形は、あと一歩で自分たちを踏み潰せる位置まで近づいている。
「まずい! ルイズ、逃げろ!」
土人形の足がぶわりと持ち上がり、才人は観念した。
「く……、なんでこんなにきついのよ!?」
だが、ルイズは動かない。
懸命にロープを外そうと悪戦苦闘している。
上から、足が落ちてくる。もう、間に合わない!
迫り来る恐怖から目をつぶった時、さっきまでのような浮遊感と、横方向への急激なGが体を襲う。
それから、ずしん、という音が聞こえた。
…って、あれ?
おそるおそる目を開けてみたら、そこは空中だった。
足元、下の方にはさっきの巨大土人形が見える。
上、というか背中の方を振り返ってみたら、白い大きな腹と、ばっさばっさと空を打つ一対の翼が見えた。
どうやら、タバサがシルフィードを地面と土人形の足の間に滑り込ませて、回収してくれたらしい。
助かった、と大きく一息ついた。
簀巻すまきのままで。
そうしてぶらぶら揺られていると、脱力したことで緊張が薄れたのか、眼下のバケモノに対して好奇心がむくむくと湧き上がってきた。
恐怖そのものが拭えたわけではなかったので声が震えていたが、まあそれはどうでもいい。
「な、なんなんだよ、あれ?」
「誰が使ってるんだかは知らないけど……、まあ、見たまんまね。
土人形ゴーレムよ」
「あんなでっかく出来
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ