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fate/vacant zero
土塊つちくれの巨人
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 ギーシュの野郎の『戦乙女ワルキューレ』が蟻アリに思えるほどのフザけたデカさとなったそれが、こちらへと向かって歩いてきていた。



「きゃぁああああああああああ!」


 キュルケが悲鳴をたなびかせて逃げ去っていく。

 俺を結ぶ縄もそのままに、ほうほ……っておいィ!?


「ちょ、こら! 逃げるんならこれほどいてから逃げてくれよ!」


 あっと言う間に逃げ去ったキュルケにそれが聞こえるわけもなく。

 かわりに反応したのは、土人形だった。


 ずしん、と迫り来るそれは、あまりにも圧倒的で。

 縛られていなければ好奇心が優先されたのだろうが、こちとら動けない。

 生存本能を最優先にして、しゃくとり虫みたいにうねうねともがいてみるものの、あわてているのも手伝ってろくに進まない。


 さらにずしん、と大地が揺れる。


 やばい、と諦めかけた時、我に返ったルイズが駆け寄ってきた。


「な、なんで縛られてんのよ! あんたってば!」

「縛ったのはお前らだろうが!」


 ……あんまり我に返ってないかもしれない。


 すでに土人形は、あと一歩で自分たちを踏み潰せる位置まで近づいている。


「まずい! ルイズ、逃げろ!」


 土人形の足がぶわりと持ち上がり、才人は観念した。


「く……、なんでこんなにきついのよ!?」


 だが、ルイズは動かない。

 懸命にロープを外そうと悪戦苦闘している。


 上から、足が落ちてくる。もう、間に合わない!



 迫り来る恐怖から目をつぶった時、さっきまでのような浮遊感と、横方向への急激なGが体を襲う。


 それから、ずしん、という音が聞こえた。



 …って、あれ?



 おそるおそる目を開けてみたら、そこは空中だった。

 足元、下の方にはさっきの巨大土人形が見える。

 上、というか背中の方を振り返ってみたら、白い大きな腹と、ばっさばっさと空を打つ一対の翼が見えた。


 どうやら、タバサがシルフィードを地面と土人形の足の間に滑り込ませて、回収してくれたらしい。


 助かった、と大きく一息ついた。

 簀巻すまきのままで。



 そうしてぶらぶら揺られていると、脱力したことで緊張が薄れたのか、眼下のバケモノに対して好奇心がむくむくと湧き上がってきた。

 恐怖そのものが拭えたわけではなかったので声が震えていたが、まあそれはどうでもいい。


「な、なんなんだよ、あれ?」

「誰が使ってるんだかは知らないけど……、まあ、見たまんまね。

土人形ゴーレムよ」

「あんなでっかく出来
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