王都トリスタニアの休日
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今は貴族の使い魔も剣をふるようで」
んなこたーない。
投げ遣りに心中で相槌っつーかツッコミを打ちつつ、とりあえず剣を一つ手にしてみる。
おお、いい感じに光ってる光ってる。
剣ならフツーに持つだけでも発動するんだな。
「剣をお使いになるのは、この方で?」
店主は、今度は壁に立てかけた槍を手に取ろうとしている才人を見やる。
なにやら、おー光る光る、などという呟きが聞こえたが、ルイズは無視して一つ頷いた。
「わたしは剣のことなんかわからないから。適当に選んでちょうだい」
それを聞いた店主は、いそいそと奥の倉庫へすっこんでいった。
その口に浮かんだニヤリとした笑みは、才人はもちろんのこと、ルイズも気付いていなかった。
それから一分と経たぬうちに、彼は1メイルmほどの刀身を持つ、小枝のような細身の剣を持って現れた。
「そういや、昨今は宮廷の貴族の方々の間で、下僕に剣を持たせるのが流行っておりましてなあ。
そういった方々がお選びになるのが、このようなレイピアでさあ」
新しい剣に興味を惹かれた才人がしゅぴっと寄ってきて、レイピアを受け取る。
「貴族が、下僕に剣を?」
なるほど、煌びやかな装飾が施されていて、貴族の好みそうな美しい剣だった。
ただ、才人が自分で扱う分としてはかなり不安が残った。
「へえ、なんでも『土塊つちくれ』のフーケとかいう魔法使いメイジの盗賊が、貴族のお宝をさんざ盗みまくってるって噂で」
なんせ、これぐらいの細さの枝を振った時は、大きな木に当たった時に折れ弾はじけてどこかへ飛んでいってしまったのだ。
これも同じ結果にならないとは限らないし、もしそうなってしまえば折れた刀身でまず自分の身が危なくなる。
「貴族の方々そいつをは恐れて、下僕にまで剣を持たせる始末でして。へえ」
もうちょっと、頑強さが欲しい。
その旨をルイズに伝えようと振り向くと、ちょうど細剣レイピアから目を上げたルイズと目があった。
「どう?」
どう……、って、これでいいか? ってことか?
なら、俺の答は出てる。
「いや、ダメだ。これだと折っちまいそうな気がする」
首を振って、そう告げる。
そう、と一言呟いたルイズは、店主に向き直った。
「もっと大きくて太いのがいいわ」
「お言葉ですが、剣と人には相性ってもんがございます。
それに見た所その剣は、若奥さまの使い魔とやらの細腕に折られるほどヤワな造りはしておりませんぜ」
「大きくて太いのがいいと、言ったのよ」
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