王都トリスタニアの休日
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二つだ。
とにかく、マントをつけているやつ。
あと、歩き方がもったいぶったやつ。
少なくとも学院では、その二つがあれば判断できた。
そして、この周辺にはマントを着けたり、変わった歩き方をしたりしているやつはルイズしかいない。
少なくとも、見える範囲には。
「そりゃそうよ。だって、貴族は全体の人口の一割もいないのよ。
あと、こんな下賎なところにはまず来ないわね」
ますます持って理屈が変じゃね? と才人は思った。
なんか、話が噛み合ってない気がする。
「そもそも、貴族がスリなんかすんのか?」
ルイズは、それこそまさか、と両掌を空に向けて上に挙げた。
「貴族は全員が魔法使いメイジだけど、魔法使いメイジの全員が貴族っていうわけじゃないわ。
いろんな事情で勘当されたり、家を捨てたりした貴族の次男坊や三男坊なんかが身をやつして、傭兵になったり犯罪者になったりするの。
この辺りの裏路地には、そういう人種が少なからずはびこってるのよ」
「へえ……。貴族っても、いろいろあんだな」
そういう才人の目線は、下から上に移されていた。
軒先に掛けられた、木の看板を見ている。
こういうタイプの看板は、ゲームの中以外で見た記憶はなかった。
「なあ、あの瓶の形した看板ってなに屋さん?」
「ん? ああ、あれね。酒場よ」
おお、あれが酒場か。いわゆるBARか。
「こっちの酒場って入場に年齢制限とかないのか?」
「年齢制限?
なにそれ? あんたの居たとこってそんなのあるの?」
ないらしい。
「お酒は二十はたちを過ぎてから、ってな。お、あの×印はなんだ?」
「衛士えじの詰め所」
「エジ?」
「なに、衛士も知らないの? 警備をする兵士のことよ」
ああ、なんとなくわかった。
言ってみれば警備員さんか。街にもちゃんと居たんだな。
しかし、こうやって歩いてるだけでもおもしれえ。
俺、いま、ファンタジーと浪漫のど真ん中にいるんだなぁ。
にやつく顔が止まらない。
無理やり連れてこられたことなんて、とっくに意識の外まで飛び去っていた。
「っていうか、あんた剣買いに来たんでしょうが」
あ、いっけね。
忘れてた。好奇心に釣られすぎたか。
「そうだった。ちゅうか、剣屋はどこにあるんだ?」
「確かこっちよ。剣だけ売ってるわけじゃないけどね」
そう言ってさらに狭い路地裏へ入っていくルイズの後に続いた。
「きた
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