王都トリスタニアの休日
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おもむろに前を向く。
露店が並んでいる所為もあるのかもしれないが……。
「狭いな」
「狭いって、これでも大通りなんだけど」
「これでか?」
道幅、おおよそで4メートル。これに加え、路の両端には露店のスペースがとってあるのだ。
それ+することの露天を眺める人の幅である。
人が歩けるスペースは、自動車一台がぎりぎり通れるかどうか、程度になっている。
これは狭い。
どう見積もっても大通りというにはあまりに狭い。
それでいて人通りは東京の電気街なみに多いものだから、なおのこと狭い。
普通に歩くのさえ一苦労だ。
「ブルドンネ街。王都トリスタニアで一番広い通りよ。この先には、トリステインの王宮があるの」
「ん? 王宮に行くのか?」
それはそれで嬉しい。好奇心がとてもくすぐられる。
「あんたね。女王陛下に拝謁はいえつして何する気よ」
「是非ともスープの中身を改善してもらう」
せめて半生肉だけはなんとかしてほしいものだ。
あのな、おまえは笑ってるが、食ってる方からしてみたら笑い事じゃないんだぞ? ルイズ。
まあそれはさておいて。
露店の量は、確かにここが大通りだと言わんばかりだ。
服やら食い物やらは常識の範疇で、サンゴっぽい燭台やら、なんだか奇怪なカタチのカエル入りの瓶やら、あからさまに胡散臭い真っ赤な水薬ポーションやら、なんに使うんだか全くわからない、昔に絵本で読んだランプの精みたいな姿をしたターバンを巻いた男の像の置物やら。
いちいち好奇心を刺激しまくられて仕方がない。
きょろきょろと、次から次へと興味を惹かれるシロモノに目移りしまくっている。
バネみたいな形の剥きにくそうなバナナを見つけ、そっちにふらふらと歩いていこうとしたら、ルイズに耳を掴まれてつんのめった。
「少しはじっとしなさい。スリが多いんだからね、ここらへんは。財布はちゃんとある?」
物騒だな、そりゃ。
ルイズに預けられた重みを、上着越しに確かめてみる。
「あるぞ、ちゃんと。……ていうか、こんな重いもんスられてたまるかっての」
ずっしりした重量感がポケットに突っ込んだ手からは感じられた。
さすがにこんなに膨らんでる重たい財布をもって逃げるのは一苦労だと思うんだが。
「魔法を使われでもしたら一発でしょ」
まて、その理屈はおかしい。
辺りを見回し、貴族メイジが居ないかどうかを確認する。
「普通の人しかいないぞ?」
才人の貴族メイジを見分ける条件は
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