王都トリスタニアの休日
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たら――、剣なんかで気を引こうとしちゃって――、あたしが狙ってるってわかった端そばから、早速プレゼント攻勢? なんのつもりよ――――ッ!」
だん、だん、だんと、キュルケは地団太を踏んだ。
タバサはもはや我関せず。
自分の仕事は終わりだとばかりに本を読んでいる。
その腰にはシェルンノスが提げられている。
王都につくまではシルフィードの首からぶら下がっていたのだが、急についてくると言い出したのだった。
その際にキュルケが、もの珍しいものを見たと言わんばかりの表情になったのは言うまでもない。
ちなみに話し相手を失って暇になったシルフィードは、上空で腹いせにヤケ飛びをしていたりする。
ぐるぐると。
今にも「暇なのー」って声が聞こえてきそうな勢いで。
っていうか、いま聞こえた。あとでお仕置き確定。
キュルケは、自分も剣をプレゼントするんだから、と息巻いて店内に入っていった。
それを見送ったタバサは、本を読みながらもシェルンノスに軽く質問をした。
まあつまり、「なぜ着いてきたのか?」である。
どうも、同行を言い出したタイミングが妙だった。
そのクセに何も行動を起こそうとしないので、気にかかったのだ。
「ああ。いや、なんだ。ちょっとばかり、知り合いの気配がしたんもんでな。この街に着いたときに」
「知り合い?」
はて、どういうことだろう。
シェルンノスの知り合いというと……。
「傭兵?」
「いや、違う。そっちじゃねえ。
もっと古い知り合いだったはずなんだが……、ダメだな、もうよく思い出せねえや。
俺もこの世に生まれてなげえからな。昔のことは、あんまり覚えてねえんだわ。
なんとなく、忘れちゃいけねえ気配だったような気はするんだけどな」
「そう」
もっと古い、知り合い。そして、シェルンノスは千年は軽く生きている。
そうするとつまり、気配を感じられる知り合いとは……。
「同じ、知恵持つ武器インテリジェンスウェポン」
その知り合いとやらに、シェルンノスのような、人を操る特殊能力がついていたりはしないだろうか。
そうだとしたら、対策は練っておかなければならない、かもしれない。
そこまで考えたところで、タバサはふと我に返った。
なぜ自分はそれと戦うことを考えているのだろうか?
敵だとは限らないだろうに。こういうのは、確かなんと言っただろうか。
ああ、そうだ。
「野竜を草結びに掛ける算段取らぬ狸の皮算用」
せっかくの休日なのだ。
妙なことは考
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