王都トリスタニアの休日
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、とりあえず期待してルイズを見ている。
「立派な家と、森付きの庭が買えるじゃないの」
うわすげえ。
ってか、どう考えてもそりゃあぼったくりじゃないのか?
「名剣は城に匹敵しますぜ。屋敷で済んだら安いもんでさ」
そうなのか。
「新金貨で、100しか持ってきてないわ」
えー、と才人はがっくり肩を落とした。
「まともな大剣なら、どんなに安くても相場は200でさ」
赤くなったルイズを見ながら、見直して損したと思った。
ていうか、高いんだなあ、剣って。
才人は、自分もこっちの金銭感覚はないということを既に忘れている。
「なんだよ、これ買えないのか?」
「そうよ。買えるのにしましょう」
しかしさっきの話からすると、買えるのっていったら買わない方がマシ、みたいなのにしかならないんじゃないのか?
才人はさらにがっくり来て、うっかり悪愚痴わるぐちをこぼした。
「貴族だなんだって威張ってる割には……」
きっ、と睨まれた。なんだよ?
「誰かさんの大怪我治す秘薬の代金が残ってれば、手が届いたかもしれないんだけど」
「ゴメンナサイ」
要するに、俺の無茶のせいか。
怒るに怒れないなあ、と才人は意気消沈した。
「これ、気に入ったんだけどなぁ……」
名残惜しげに、剣を鞘にしまう才人。
「生意気言うんじゃねえ、坊主」
その背後、剣の積んである棚の中から、唐突に不思議なトーンの声が聞こえた。
やや高めで芯の通った、男とも女ともつかぬ声。
成長期過渡の少年の声、というのが近そうだ。
ルイズと才人が、その棚の方を振り向いた。
才人から剣を受け取ろうとしていた店主は、頭を抱えた。
「おめえ、自分を見たことがあんのかい? そのナリで剣を振るだ?
こりゃおでれーた! 冗談じゃねえ! おめえにゃ棒っキレがお似合いさ!」
「んだと?」
才人は、沸点寸前まで一気に血を上らせた。
こちとら、その棒っキレで満足できねえからこんなとこまで剣買いに来てるんだよ、と。
だが、その声の主を探してみても、そこには棚と積まれた剣があるだけ。
人影など、どこにも見当たらない。
あれ?
「それがわかったら、とっとと家に帰りな! おめえもだよ、貴族の娘っ子!」
「失礼ね!」
人影が見えないとわかった途端に、才人の好奇心がまたもむくむくと膨れ上がってきた。
人は居ない。じゃあ、何が喋ってるんだ?
つかつかと棚の前に立ち
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