使い魔生活も楽じゃない
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はて、あの時?
……逃げたって言うと、食堂で、だよなぁ。
「気にしないでいいって。シエスタの謝ることじゃないよ」
「ほんとに、貴族は怖かったんです。
私みたいな、魔法を使えないただの平民にとっては」
そうかもしれない、と思う。
あれほど重い拳を遊びで容易たやすく繰り出してくるような相手なのだ。
女の子では、怖いと思うのが普通のことだろう。
……でも、それならなんで顔を上げたシエスタの目は、こんなキラキラ輝いてるんだ?
「でも今はもう、前ほど怖くないんです!
わたし、サイトさんを見て感激しました!
平民でも、貴族に勝てるんだって!」
「そ、そう……、ははは」
かなりボロボロだったんだけどなぁ……。
まぁ、悪い気はしないからいいんだけど。
ほんとに、この左手の模様は、どんな力を持ってるんだろう。
………………あぁっ、はやく試してみてぇええええ!
と。
気持ちだけは強いのだけれど、体が治ってないので下手に動くとえらい目にあう。
実にもどかしかったので、才人は意識話題を逸らそうと試みた。
「そういえばさ。ひょっとして、シエスタってずっと看病してくれてたりする?」
「いえ、違います。私じゃなくて、そこで寝てるミス・ヴァリエールが……」
あいつが?
「サイトさんの包帯を取り替えたり、顔を拭いてあげたり……。
ずっと寝ないでやってたから、お疲れになったみたいですね」
そっか。……ますます、借りがでかくなっちまってるなぁ。
ぼんやりとルイズを眺めながら、召喚された日の夜、こいつが言っていたことを思い返す。
『使い魔は、主人の護衛でもあるのよ。その能力で、主人を敵から守るのが役目!』
これが出来るようになった、というのは大きいか。
なら俺は、ルイズを守ることにしよう。
金なんぞは欠片もないが、これなら、借りくらい返すことが出来るかもしれない。
そのためにも、早いとこ模様の力は試しとかねえと!
どっちかと言うとこっちがメインっぽい叫びを心の中で上げた時、視線の先で、ルイズが目を覚ました。
大きくあくびをして、伸びをして。
それからようやく、目を覚ました俺に気付いたらしい。
「あら。起きたの、あんた」
「うん」
さて。とりあえず、お礼は言っとかねえとな。
「その、な。ルイズ」
「なによ」
「ありがとう。心配かけて、ごめんな」
心配、と言った辺りで、ルイズは予備動作無く立ち上がった。
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