使い魔生活も楽じゃない
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り魔法だったのか、あの怪我を治したの。
すげぇなぁ。
「その『治癒ヒール』の呪文って、どれぐらいまでなら普通に治せるの?
っていうか、病気とかでも治せたりするのか?」
「え? ええ、病気も治せちゃうみたいです。
どれぐらいまでかは、その方の精神力次第ですわ……あの、ご存知ではないんですか?」
「いや、あいにく」
なぜ知らないかについては話さない。
病み上がりであんな面倒な説明させられたら、また寝込んじまいそうだ。
「あの、もう少し勉強なさった方がよろしいのでは……。
じゃあ、呪文に秘薬が必要なことも、ご存知でないので?」
失礼な。じゃなくて……、へ? 秘薬?
「そうなの?」
「ええ。あ、秘薬の代金の方は、ミス・ヴァリエールが出してましたから心配ないです」
心配て。
「なあ。……心配する必要があるほどお金かかるの? その秘薬って」
気になる。
かなり。
「まあ、平民のお給料では一年間飲まず食わずで溜め込んでも出せる額ではありませんね」
そりゃあまた、べらぼうに高そうだ。
……はぁ。
「ルイズに、借りが出来ちまったなぁ」
そうですね、とくすくす笑いながら、シエスタがテーブルに置いたお盆を持ってきてくれた。
「お腹すいてませんか?
お食事です、食べちゃってください」
「あ、ありがとう」
そう言われてみると、ちょっと。
もとい、けっこう。
いやいや、すごく。
……正直言おう。とんでもなく腹が減ってる。
ぐぅぐぅきゅるきゅると痛いぐらいに。
「……なぁ、俺、どのぐらい寝てたの?」
そう言ったところで腕が耐え切れなくなり、切られたパンを攫み被る。
あぁ、柔らかくて実にうまい。
あの朝に食ったパンって、こんなうまかったんだな。
これまた新発見だ。
「三日三晩、ずっと眠り続けてました。
目が覚めないんじゃないかって、皆で心配してたんですよ」
三日かぁ。
道理で、やたらと腹が減ってるわけだ。
「皆って?」
「厨房の、皆です。
噂になっちゃってますよ? 貴族に勝った平民がいる、って」
おお。……っても、やっぱ“平民”なんだな、俺の呼称よびかた。
いや、なんも説明してないんだから当然っちゃ当然なんだけどさ。
なんだかなぁ、と思っていたら、いきなりシエスタが頭を下げてきた。
「あの……、すいません。
あの時、一人で逃げ出してしまって」
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