使い魔生活も楽じゃない
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つい、と右手を眺めてみる。
そこにあるのは、いつもの俺の手だった。
たしか、砕けてたような気がするんだが。
……そういえば、あばらも普通に折れてたような。
右手で拳を作り、軽く胸を叩いてみた。
こつりと、体の中にいい感じの響きがして――
前かがみに蹲うずくまってずきずきと痛む右手を左手で押さえるバカ一人。
いてぇ。
いてぇんだけど、折れたり砕けたりはしてないらしい。
まだズキズキはしてるけど、息苦しくなったり動かせなかったりはしなかった。
これも魔法なんだろうか。
そうだとしたらすっげぇな。医者、いらねえんじゃねえか?
そんなことを考えていたら、左手のルーンが目に止まった。
コレがあの不思議パワーの時、なんだか光っていたことを思い出す。
こいつも魔法みたいなもんなんだろうか?
あのとき、体の痛みを無くしてくれたり、ギーシュの野郎の銅像を遅くしたり、ぶった切らせてくれたりしたのは、こいつの力なんだろうか?
こいつは、あの時の力以外にも何か出来るんだろうか?
興味は尽きない。実に面白い。
才人は痛みも忘れて、その力をもう一度試してやろうと跳ね起きる。
起き上がった拍子にあちこち痛んで、秒単位以下でベッドへ逆戻りさせられた。
重力の手で、今度はうつぶせに。鳥頭の所業だった。
柔らかいベッドとはいえ、鼻と胸を打ちつけたのでものすごく痛い。
そのまましばらくもだえていると、ノックが聞こえて誰かが部屋に入ってきた。
ドアへ体ごと目をやると、あの時才人に厨房でシチューをくれた、平民の少女がいた。
相変わらずのメイド姿である。
「きゃ!
何やってるんですかサイトさん! 動いちゃダメですわ!
あれだけの大怪我では、『治癒ヒール』の魔法でも完璧には治せないんですよ! ちゃんと寝てないと!」
彼女は才人を見ると目を丸くし、手に持った銀のトレイをテーブルに置くと慌てて駆け寄ってきた。
悶絶していて動けなかったので、とりあえず裏返してもらった。
ころりと。
「えっと……、シエスタ?」
「なんですか?」
「あの、だな
俺、なんでルイズの部屋で寝てたんだ?
ぶっ倒れたところまでは覚えてるんだけど」
「あれから、ミス・ヴァリエールがここまであなたを運んできたんですよ。
途中で遇ったわたしに、『水』系統の先生を呼んでくるよう言って。
それで連れてきた先生に、『治癒ヒール』をかけてもらったんです。大変でした」
あぁ、やっぱ
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