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fate/vacant zero
黒の地下水
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である。

 ついでに根が臆病なので割と本気でいやがったが、タバサの命令である。

 しかも、据わった目でじーっとこっちを真剣に見つめている。気配がちょっといやかなり怖い。


 う〜〜〜。あ、あとでお仕置きされるよりマシなのね!と、結論を出したシルフィードは、タバサをひょいっとくわえて、背中に放り跨またがらせる。


「あとで、いっぱいお肉ちょうだいね! きゅい!」









 夜空を低空飛行で飛びまわりながら、闇に消えた二人の魔法使いメイジを探すのは、ぶっちゃけ人の身ではあまりにも無理がありすぎた。


 見えない。

 まったくもって見えない。


 耳を澄ましても、あっちこっちで風切り音がするばかりなのだ。

 どうしようもない。

 いつの間にやら月明かりは射しているのだが、それでもこんな広大な庭園ではどこがどこやらさっぱり分からない。

 どうしたものかとタバサが途方にくれていると、人よりは夜目の利くシルフィードが索敵に成功したようだ。


「お姉さま、あそこに誰か居るわ」


 昼間見た、庭園に設営された舞台がそこにあった。

 月明かりの下、黒々と横たわった大きな板作りの台の上。

 そこに、人影らしきものが見えた。

 タバサは杖を構え、シルフィードに降下を命じる。


「ええええええ? あそこに降りるの? 怖いよぅ」

「い・い・か・ら」


 タバサの語気が、珍しく強い。


 こういう時のお姉さまにはむかっちゃうと……?


 どうなるんだろう、なんて正直その先を考えたくもなかったシルフィードは、窮めて迅速に降下した。





 舞台に近づくに連れ、人影が大きくなってくる。

 どうやら、戦いは既に終わったらしかった。

 一人が、倒れたもう一人を覗きこんでいる。

 "地下水"とカステルモールだろうが……、勝ったのは、どちらだろう?

 シルフィードが、舞台に降り立つ。

 タバサは油断せずに杖を構える。

 さっきの怒りで、精神力が随分回復している。

 殺る気や きは満天だった。

 そんなタバサに気付いたのか、片膝をついていた方の影が立ち上がる。



「シャルロット様?」


 タバサはほっとしながら、残念に思った。

 どうやら、カステルモールは勝利してしまった・・・・・・らしい。

 倒れた男のほうを見ると、仮面が外れていた。

 その顔は、昨日、タバサの部屋に飛び込んできた衛士の一人だった。



「彼が……"地下水"?」

「ええ。最近入隊したうちの一人です。
 今後は、身元をしっかりと確認する
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