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fate/vacant zero
黒の地下水
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ており、まだロクに動きを取り戻せていない。

 "地下水"は、おそらく『スクウェア』クラス以上の力を持っているのだろう。


「では、あなたさまを捕獲して、任務完了としましょうか」


 ゆっくりと、タバサに近づいていく"地下水"。

 その時、ドアから一陣の風が室内に飛び込んできた。



「曲者!」


 それは、カステルモールであった。

 彼は仮面をつけた衛士"地下水"と、倒れているタバサに気付き、唇を噛み破る。

 "地下水"は唇をにやりと歪ませると、開いた窓から飛び出していった。


「おのれ! よくもシャルロット様を!」


 と叫び、部屋に飛び込んだ勢いそのままにカステルモールも窓から飛び出していく。



 タバサも後を追おうとするが、どうにも足に力が上手く入らない。

 悪戦苦闘していると、部屋の隅でガタガタ震えていたアルトーワ伯が這いながら、イザベラタバサの元へとやってきた。


「い、いったい何事ですか! 何が起こっているんですか!」


 今回の事件で一番不幸であろう老貴族は、何度も繰り返しタバサに尋ねた。



 その時である。

 魔法のショックか、効果時間の途切れかは分からないが、タバサにかけられていた『仮面フェイスチェンジ』が解けた。

 元に戻ったタバサの顔を見て、アルトーワ伯は目を白黒させた。


「あなたは、シャルロットさまではありませんか!
 いや、先ほどの騎士の言うとおり! 外国に留学したと聞きましたが、なぜにこのような――」


 そこまで一気に捲くし立てて、アルトーワ伯は電池が切れたように突っ伏した。



 どうも一辺に色々なことが起こりすぎて、意識がパンクしてしまったらしい。

 明日は誕生を祝う園遊会だというのに、つくづく不幸な人物だった。


 それを尻目に、杖を杖として使いながらなんとか立ち上がることが出来たタバサの前に、シルフィードの顔が現れた。

 窓から、首ごと生えて。



「お姉さま。いま、この窓からすごい勢いで二人ほど人間が飛び出していったけど……、何が起こってるの? きゅい?」


 きゅい? の所で、タバサの状態に気付いたシルフィード。


「きゃあああああ!?
 お姉さま傷だらけ!? 何があったの! きゅいきゅい」


 言葉を紡ぐ風圧で吹っ飛ばされそうになりながらも、よろよろとシルフィードに命令を下す。



「乗せて」

「ど、どうするの? ボロボロなのに!」


「追いかける」

「あんな怖い人たち追いかけるなんてヤなの! きゅい!」


 シルフィード、図体はこれだがまだ竜の年齢的には幼児
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