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fate/vacant zero
黒の地下水
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気を減らすことを目的として放たれた。


 すなわち――"雪風"の威力を殺すこと。


 "地下水"の杖から炎が翻る。

 『火壁ファイヤーウォール』と呼ばれるその防御・・魔法は空中にとどまり、"地下水"へと飛んだ氷の矢をことごとく溶かしつくす。


 彼は、『水』の使い手だったはずだ。『風』も『火』もかなりのレベルで使いこなす"地下水"に、タバサは畏怖を覚える。

 後ろに跳び退りながら、呪文詠唱の時間を稼ぐイザベラタバサ。

 畏怖で衰えつつある精神力を振り絞り、その呪文を唱えつくす。


 さきほど溶かされた『凍える風ウィンディアイシクル』の分、蒸気量に大差は無い。

 唸りを上げ始める魔力を、限界まで練り上げ……、放った。


 『氷嵐アイスストーム』。


 未だ未完成ながらも『スクウェア』の域に辛うじて届く、タバサの切り札である雹を孕む嵐ストームが、包み込むように"地下水"へ向かう。

 攻撃範囲の広いそれであれば、かわす事は出来ないと踏んだのである。


 そう、それは実際、"地下水"にかわされることは無かった。

 あろうことか"地下水"は、そっくりそのまま『氷嵐アイスストーム』を使用し、狭い部屋の中でそれらをぶつけ合ったのである。


 荒れ狂う二つの嵐ストームが、瞬く間に部屋中を戦場に変えた。


 ベッドやクローゼットなどの家具はバラバラに引き裂かれ、布が宙に舞った。

 暖炉の炎はかき消され、部屋の中が闇に染まる。

 そして、片方の嵐ストームが消え――



「ぅあっ!」


 吹き飛ばされたのは、イザベラタバサだった。

 自らの放った嵐ストームを突き抜けて荒れ狂う雪嵐に呑まれ、壁に身体を叩きつけられる。

 かは、と口から苦悶の吐息が搾り出された。


「おやおや、"雪風"が"雪風"に吹き飛ばされるとは……、ご自分の二つ名に裏切られたようなものですな」


 嘲るような口調の"地下水"の一言で、疑いは確信へと移る。


 自分の正体を知っているのは、わずか二人。

 そして、自分をここへと誘導ミスリードしたのは――、イザベラだ。



「……卑怯よ」


 奥歯が、再びぎりりと鳴った。

 あの従姉姫は、気まぐれなイザベラは、いったいどんな理由があって自分をこんな目に合わせているのか?

 タバサは非常に、そう。ムカついていた。


 その表情は――『仮面フェイスチェンジ』でイザベラのものに変えられたタバサの顔は、その怒りによって、よりイザベラそっくりに歪んでいた。


 立ち上がろうとするイザベラタバサだったが、『スクウェア』スペルの直撃を受けた四肢は痺れてしまっ
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