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fate/vacant zero
雪のヴェール
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さて。

 今回は、前回ようやく名前が出てきた空色の少女の物語ことを、少しだけ綴つづろうと思う。


 本日、平等マンの月、誕生の週ベオーク、虚無ウィルドの日の未明。

 と、言われてもこれでは地球の人間にはよく分からないだろうし、前後関係もよく分からないだろう。テイク2。



 第5マンの月、第1週ベオーク、日曜ウィルドの日。


 才人が決闘を行った日から、3日目のことである。時刻は先に述べたように夜明け前。

 タバサ。そうキュルケに呼ばれた少女は、今。

 学院のあるトリステイン、その南の一線で国境を接する大国──ガリア。

 その首都リュティスより、さらに南東へ500リーグキロメートル下った山間の片田舎。

 サビエラ村郊外、ムラサキヨモギの群生地にて――



「どうして! 悪クなイのに! ドうシテ!」

「――わたしは人間なの。だから人間の敵は倒す。それだけ」



 半裸で、杖を手に、白み始めた空を背にし、一人の、幼いともだちにんげんのてきを――焼き滅ぼしていた。



 それは、ガリアの騎士シュヴァリエとして。

 ただの一人の、人間として。


 ――何より、友人として。



 かくして、幼い吸血鬼は両親の許へと旅をする。











Fate/vacant Zero

第四章 前編 雪のヴェール







「ねえお姉さま、おなかすいたの。きゅいきゅい」


 タバサは使い魔の、海のように青い風竜、シルフィードに乗って、今回の事件の報告のために、ぼんやりと本を眺め・・ながら、首都リュティスへと向かっていた。



 彼女は、ガリアの騎士である。


 今回の事件は、才人とギーシュの決闘中に届いた、いつもの指令状から始まった。

 吸血鬼が、村に巣食っている。助けて欲しい、という要請が従姉の騎士団長のもとに届いたらしい。

 それがタバサの所に回されてきたわけだ。


 いつものように公欠届を提出した後、シルフィードを駆ってリュティスへ向かった。

 リュティスで任務を正式に受理し、事件の発生した村、冒頭のサビエラ村へと飛ぶ。

 最初にしたことは、シルフィードを魔法使いメイジに仕立て上げることだった。


 いわゆる囮である。



 『いや、無理だろ』と突っ込みたくなっても無理はないが、そこはそれ。


 シルフィードは、風韻竜。

 『知恵のドラゴンズメイ』が一柱、『群青の守護神』の眷属である。

 ゆえに、喋れる。

 上でタバサをお姉さま呼ばわりしながら喋っているのもシルフィードだ
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