雪のヴェール
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調子じゃ、まーたいじめられるのね」
シルフィードは前足を持ち上げてタバサの頭に軽く乗っけると、ぐりぐりと動かす。
タバサはされるがままに頭をぐりんぐりんと回している。
「なんかお言いなのよ」
でもやっぱり無反応。
や、ちょっと目が回ってるかも。
「あのね。そんな風だから、あの小憎たらしい従姉姫に好き勝手されちゃうのよ?
そりゃ、お姉さまの境遇ぐらいシルフィも知ってるし、何しようとしてるかも大体はわかってるのね。
でもね。ちょっと文句つけるぐらいはしなさいなのよ!
なんかあのバカ姫にいじめられてるお姉さまを窓からじっと眺めるだけってすっごい鬱るのね!
ちょっとはわたしの精神安定のためにもやりかえすのね! きゅいきゅい!」
一息にそこまで言って、がしがしとタバサの頭を甘噛みするシルフィード。
とりあえず、小さなタバサの頭がすっぽりと口の中に納まってる情景は、色々と拙いんじゃないかと思う。
ほら、そこの茂みとか――
「きぃやぁああああああああああああ!? 竜に人が食べられてるぅううううううう!」
水汲みに来た女の子が……って、時既に遅し。
慌ててタバサの頭から口を離すシルフィード。
「違うの! 食べてないの! 咥えてただけなの!」
テンパっているのか、思いっきり喋ってしまった。
少女は、いきなり言い訳を始めたシルフィードを見てフリーズしている。
……あ、口元がひくひくと。しゃっくりするみたいにひっくひっくとも首が反ってるし……あー、うん。
Fire.どっかん。
「りゅ、りゅ、竜がしゃべったぁああああああああああああ!?」
ヤバイ。
つい反射的にそう思ってしまうほど、その声はよく響いた。
そして、つい慌てに慌てたシルフィードの行動はとても迅速だった。
タバサのマントを爪に引っ掛け、背中に放り上げて大急ぎで飛び立つ。
マントを引っ掛けて放り上げたので、一瞬タバサの目が×マークになったりしたのはご愛嬌だろーか。
「しゃべっちゃった! 人前でしゃべっちゃった! もう! きゅいきゅい!」
風を貫き去りながらそう繰り返す声も、半ば放心状態のタバサの耳には届いてなかったりした。
そんな一組の凸凹主従が向かうが一路──目指すは、王都リュティス。
ガリア王国の王都リュティスは、隣国トリステインとの国境より約1000リーグキロメートル離れた内陸部に位置していた。
その
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