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fate/vacant zero
雪のヴェール
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う。

 話を聞き終わったところで、イザベラタバサはナタリーを部屋に帰した。



 割れた部屋の窓からの侵入に関しては問題無い。外にはシルフィードが居るのだから。


 だが、身内にドアを開けて侵入されてしまうのは困った。

 手の打ちようがない。


 イザベラタバサはベッドの縁に腰を下ろすと、肘を膝についた。



 徹夜、決定である。







 その頃。


 詰め所にしている部屋に引き返してきた衛士たちは、納得しがたい顔ではあったが、とにもかくにも『任せろ』との命である。

 それ以上考えるのはやめ、眠りにつくことにしていた。


「おい、ジェイク。何か分かったか?」


 ジェイクと呼ばれた騎士は、ナタリーが持っていた短剣をじーっと眺めながら、「いや……」と呟いた。


「そういやさっきの殿下、ちょっと様子が変だったな。
 いつもなら、『お前たちいったい何をしていたの!』って騒ぎ立てて、俸給を減らされてたとこだってのに。
 一体全体、あのヒステリー娘に何があったんだ? そっちの方が気になるぜ。
 なぁ?」


 話を振ってみたが、やはりジェイクはまったく反応を返さない。

 じーっとナイフを見つめたままであった。


「……おい、ジェイク? そのナイフがどうかしたのか?」

「なんでもない」


 そう呟いて、なめした皮にそのナイフを包み込み、ポケットに突っ込む。


「なんでもないんだ」


 そう呟くジェイクの瞳には、何も映ってはいなかった。






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