雪のヴェール
[20/20]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
う。
話を聞き終わったところで、イザベラタバサはナタリーを部屋に帰した。
割れた部屋の窓からの侵入に関しては問題無い。外にはシルフィードが居るのだから。
だが、身内にドアを開けて侵入されてしまうのは困った。
手の打ちようがない。
イザベラタバサはベッドの縁に腰を下ろすと、肘を膝についた。
徹夜、決定である。
その頃。
詰め所にしている部屋に引き返してきた衛士たちは、納得しがたい顔ではあったが、とにもかくにも『任せろ』との命である。
それ以上考えるのはやめ、眠りにつくことにしていた。
「おい、ジェイク。何か分かったか?」
ジェイクと呼ばれた騎士は、ナタリーが持っていた短剣をじーっと眺めながら、「いや……」と呟いた。
「そういやさっきの殿下、ちょっと様子が変だったな。
いつもなら、『お前たちいったい何をしていたの!』って騒ぎ立てて、俸給を減らされてたとこだってのに。
一体全体、あのヒステリー娘に何があったんだ? そっちの方が気になるぜ。
なぁ?」
話を振ってみたが、やはりジェイクはまったく反応を返さない。
じーっとナイフを見つめたままであった。
「……おい、ジェイク? そのナイフがどうかしたのか?」
「なんでもない」
そう呟いて、なめした皮にそのナイフを包み込み、ポケットに突っ込む。
「なんでもないんだ」
そう呟くジェイクの瞳には、何も映ってはいなかった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ