暁 〜小説投稿サイト〜
fate/vacant zero
古の伝説
[10/14]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
も、根こそぎ剣に裂かれてしまっていた。

 続闘を否定する声を上げようとしたが……、震えた声しか出そうになかった。


 格好悪いな、と思った。

 だが……、震える声でも応えてやらねばなるまい。

 それが礼儀であり、ルールなのだから。



 ――そうして。

 ギーシュは勝者に、降参を告げた。



 苦々しく──だがどこか少し、少しだけだけど晴れやかな。


 新鮮で、複雑な思いを胸に。









「ま、参った」





 ふう。  


 終わったんだ────そう実感した途端、なんだか一気に力が抜けてしまった。


 剣から手を放し、力が抜けて重くなった体で、のっくりルイズの方へ歩いていく。

 あの平民やるじゃないか! とか、ギーシュが負けたぞ! とか、野次馬どもからの歓声がどこか遠く届いているが。


 今はとりあえず措いて置いて。



さて。ちょっと考え事をしよう。


 何故、勝ててしまったんだろうか、とか。

 なんで俺はあんな動きが出来たんだろうか、とか。

 そもそも、青銅で青銅を切り裂くってどんな怪現象だ、とか。


 いろいろ、ふらつきながら考えてみる。





考えてみた。





 結論。わからん。

 何の答えにもなってない気がするが、それもまあいいか、と本気で思った。


 だって、いくら考えても想像が付かないほどわからないだなんて、これ以上のない面白いことなんだから。



 けど、俺自身にサイケなパワーが宿ってるんだとしたら、どういうことが出来るかは、全部自分自身の体で試さないとダメなんだろうか。

 ちょっと面倒いなぁ、と思う。

 思った、けれど。ほんの少し、本当に少しだけ裏っ側を捲ってみるだけで、こんなにおもしろいことが山盛りなんだ。



 この世界も、悪くはねえのかもしれないなあ──



 そう考えながら、







才人は全身を投げ出すように、豪快にすっ転んだ。











「サ、サイト!?」



 いきなり倒れかけた才人の体を支えようと駆け寄ったルイズは、だが、ちょっと勢いがつきすぎた体を支えきれず、あと重さにも負けて地に潰された。

 才人ごと。



「サイト!」


 体を揺さぶってみるが、反応が無い。

 ただ、胸に置いた手からは大人しめの鼓動が伝わってくるので、死んではいないらしい。

 というより。



「……サイト?」

「ぐー……」


 
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ