暁 〜小説投稿サイト〜
fate/vacant zero
古の伝説
[7/14]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
というのですか! オールド・オスマン!」


 半ばまで禿げあがった頭を拭いながらまくしたてるコルベールから目を外し、改めて文献のソレと、スケッチとを見比べるオスマン老。



「ふむ……、確かにルーンは同じじゃ。
 ルーンが同じである以上、ただの平民だった少年は、『ガンダールヴ』となった、ということになるんじゃろう」


「いかが致しましょう?」

「ふむ。じゃがしかし。これだけで、そうと決めつけては早計かもしれん」


 当時のソレをその目で見た者は、当然ながら遠の昔に墓の中だ。

 本当の本当にソレがそう・・であるかと問われては、答えられるものなど居はすまい。



「むぅ。それもそうですな。
 何か、その証明となるものでもあれば別なのですが――」


 両名は一つ唸って、考え込んでしまった。

 とそのとき、ドアがコツコツとノックされる。



「誰じゃ?」


「私です、オールド・オスマン」


 扉の向こうから聞こえてきたのは、ミス・ロングビルの声だった。



「なんじゃ?」


「ヴェストリの広場で、決闘をしている生徒がいるようです。
 大騒ぎになってしまっているのですが、教師たちも生徒たちに邪魔されてしまって、
 止めることができないようです」



 オスマン老は、頭を抱え込んでしまった。


「まったく……、暇をもてあました貴族ほど、性質たちの悪い生き物はおらんのぅ。
 で、誰が暴れておるのかね?」



「一人は、ギ−シュ・ド・グラモン」

「あの、グラモンとこのバカ息子か。
 親父も色の道では剛の者じゃったが、息子も輪を掛けて女好きじゃ。
 おおかた女の子の取り合いじゃろうよ。相手は誰じゃ」


「……それが、貴族メイジではありません。
 ミス・ヴァリエールの使い魔の少年のようです」


 なぬ? と顔を見合わせる室内の二人。


「教師たちは、決闘を止めるために『眠りの鐘』の使用許可を求めております」


 これはもしかすると……、と、オスマン老の目が鷹のように光る。



「アホか。たかが子供のケンカを止めるのに、秘宝を使ってどうするんじゃ。放っておきなさい」

「わかりました」


 足音が、だんだんと遠ざかっていく。

 ミス・ロングビルはその場を立ち去ったようだ。


 コルベールの唾を飲み込む音が聞こえた。



「オールド・オスマン」

「うむ」


 考えは同じらしい。

 オスマン老が杖を一振りすると、壁に架かった大きな鏡に、ヴェストリ広場の様子が映し出された。











[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ