古の伝説
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した途端、ギーシュの顔から表情が消えた。
ゴーレムの右手が、本体ごと飛んできている。モロに頬にくらって、才人はまた吹っ飛ばされた。
歯が何本か折れ、口の中を転がっている。
折れた歯を吐き捨て、よろめきながら立ち上がる。
何故か、笑いがこみ上げてきた。
すげえな……、これが、魔法使いメイジの力か。
多少のケンカはこなしてきたが、こんな重い攻撃を食らったことは今までに一度も無かった。
才人の口の端には、笑みと血が滲んでいる。
どうやら、才人の好奇心はこんな状況であっても発動してしまったらしい。
"初めて"くらった"魔法使いメイジの攻撃"に、青銅の『戦乙女』に、才人は限りなく心を揺り動かされていく。
よろよろとよろめきながらも、それでも立ち上がっていく力が、その"興味"から引き出されている気さえしてくる。
だが立ち上がる都度、ギーシュの『戦乙女』が、よろめく体を容赦なく傷めつけてきた。
ぎりぎり交わした拳は横薙ぎに払われ、ラリアットとして背中を襲う。
ギーシュの方に都合よく弾き飛ばされたため、立ち上がりながら繰り出そうとした右拳が、後ろから『戦乙女』に殴り落とされて砕ける。
左のこめかみにコマのような回し蹴りをくらった。
鼻に拳が直撃する。胸に、肘の寸打が横殴りに入る。
拳を避けようとしても、なんらかの変則的な動きをする"銅像"によりどこかしらにことごとく命中してしまう。
才人が立ち上がるたび、そんな行動は繰り返されていた。
左目は、既に血で塞がってしまった。
右目で、右手を確かめる。指が、色んな方向へ好き勝手に曲がっている。
『戦乙女』の飛び蹴りが、右手を興味深く眺めていた才人の顔面に直撃し、頭を強く地面に打ち付けた。
意識が、一瞬飛んだ。でも、それでも――
目を開けたとき、そこには青空をバックにしたルイズの顔があった。
「お願い。もうやめて」
悲痛な面持ち。揺らめく鳶色の瞳。
……揺らめく?
「――*――£;───」
……声が出ない。というか、がらがらとのどの奥で音がして、咳き込んで、赤いものを吐いた。
全身痛いが、胸が飛び切り痛い。どうも肋骨まで逝っている気がする。
……何かのマンガでみた方法を試してみよう。
大きく、息を吸って――
バキボキ、と音がして、肺が肋骨を押しのけた。
おお、ホントにこれでも何とかなるのか。
そんなことを思いながら、声を出す。
「――ない でる
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