古の伝説
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、呪文詠唱の時間が非常に長かった……その魔法のあまりの強大さゆえに。
知ってのとおり、魔法使いメイジが魔法使いメイジとして強さを磨く限り、その詠唱は強い意思の集中を必要とする。
魔法それ自体が強力じゃじゃうまであればなおさらの。
当然、そんなじゃじゃ馬を扱っておる時には敵の動きを見る余裕なんぞ持てはせん。
そんな無力な間、己の身を守るために始祖ブリミルが用いた使い魔が『ガンダールヴ』なのじゃ。
その強さは――」
「千人もの軍隊を一人で壊滅させるほどの力を持ち、あまつさえ並の魔法使いメイジであればまったくの無力に追いやられたとか!」
非常に興奮した調子のコルベールが、オスマン老の言葉を継いだ。
「じゃから、落ち着かんかいミスタ! きみの悪い癖が出てきとるぞ!」
「も、申し訳ございません!」
背筋を伸ばし、冷静な表情に戻るコルベールだった。
「で、じゃ。ミスタ・コルベール」
「……はい」
「その少年は、本当にただの人間だったのかね? 亜人種ライカンスロープの類だったとか、そういうことではなく?」
「はい。どこからどう見ても、ただの平民の少年でした。
ミス・ヴァリエールが呼び出した際に、念のため『解析ディテクト』で確かめたのですが、正真正銘、ただの平民の少年でした」
「そんなただの少年は、なぜ現代の『ガンダールヴ』になってしまったのかね?」
「それは……、ミス・ヴァリエールと契約したからですが」
「彼女は、優秀なメイジなのかね?」
「いえ。といいますか、むしろ無能といいますか……。
どんな呪文を使っても、必ずといっていいほど爆発してしまうのです」
「その二つ……、いや、三つが謎じゃな」
「? ……ですな」
「"無能なメイジと契約"した"ただの少年"が、何故『ガンダールヴ』になってしまったのか。
まったくもってわからんのぅ」
「そうですね……時に、オールド・オスマン」
「なんじゃね」
「三つ目の謎というのは……?」
「なんじゃ、気付いておらんのか?
……ミスタ・コルベール。お主は、何属性の使い手じゃったかな?」
「私は『火』ですが……、それがどうか?」
「そう、お主は『火』属性じゃ。
……お主、彼女のように魔法の失敗で爆発を生じさせることは出来るかの?」
「……いえ。覚えたての頃に、うっかり発火させてしまうことはありましたが、爆発させてしまうほどの炎では……」
はた、と気付いた。
「そう、部屋全体に響く爆発を生じさせるほどの『火』系統の魔法となれば、それは『トライアングル』の領域なのじゃよ。
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