古の伝説
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にないくらい、調子よく燃えてきたわ!
これこそが情熱! これこそが恋! 微熱のキュルケの本領発揮なのよ!」
そう陶酔しながら、歩みだけは止めないキュルケは、傍目にはかなりのアブナイ人であるが……、言わぬが華であろう。
「ヴァリエールの使い魔。
まさにこれ! って感じよね!
ヴァリエールの男を奪うことこそがツェルプストーの本領!
今代も、奪わせてもらうわよルイズ!」
おっほっほ、と高笑いしながら、通り過ぎかけた置石の方に勢いよく振り向く。
「そういうわけで、協力してちょうだいね! タバ……さ?」
⇒ だれも いません。
その上に乗っかって本を読み、文字通りの高みの見物をしていたはずの空毛の親友は、いつの間にか立ち去っていたらしい。
「あらー……? タバサー? どこ行ったのー?」
きょろきょろと辺りを見回しても、既に小柄な友人は影も形もない。
「変ねぇ。あの子、使い魔を召喚してすぐも一週間くらい見かけなかったし……、いったい何処に行っちゃってるのかしら?」
首をヒネリながら、キュルケはてくてくと『火』の塔に向かって歩いていった。
オスマン老とコルベールは、『遠見の鏡』で一部始終を見届けると、再び顔を見合わせた。
「──オールド・オスマン」
「──うむ」
コルベールの声が、奮ふるえている。
どうも、かなり"興味"を惹かれているようだ。
「あの平民、勝ってしまいましたが……」
「うむ」
オスマン老もまた、まだ意識が鏡の向こうにいったままなのか、返事がなんとなく虚ろだ。
「グラモンは『ドット』メイジですが、それでもただの平民に遅れをとるとは思えません。
そしてあの動き。あの速さ! あんな平民、見たことがない! やはり、彼は『ガンダールヴ』!」
「うむむ……」
「オールド・オスマン! さっそく王室に報告して、指示を仰がねば――」
「……いや、それには及ばん」
オスマン老は、重々しく頷く。白い髭が、厳しく揺れた。
「なぜですか? これは世紀の大発見ですよ! 現代に蘇りし、始祖の使い魔ガンダールヴ!」
「落ち着きたまえ、ミスタ・コルベール。『ガンダールヴ』はただの使い魔ではないのじゃぞ」
「その通りです、オールド・オスマン。
始祖ブリミルの用いた『ガンダールヴ』。
姿形の記述は一切ありませんが、主人の無防備な詠唱時間を守りぬくために特化した存在だと、文献には残されていました」
「そうじゃ。始祖ブリミルは
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