些細ささいな昼下り
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ューです。
よかったら、食べてください」
余りモノとはいえ、今朝食べたっていうか飲んだスープとはえらい差だったりするが、まあそこはどうでもいい。
そもそも、腹がそれどころではない。
今にも齧かじりつきそうな逸る意識をおさえて、短く訊ねた。
「……いいの?」
「ええ。賄い食ですけど……」
それもこの際問題でない。また水物だが腹にたまる水物なら大歓迎だ。
今朝の食事より遥かに豪勢なのだから当然である。
二日ぶりぐらいの優しさに思わずホロリときた。目周りだけ。
塩気を供給する目を無視した手は既にスプーンで一浚ひとさらい、口元へと運んでいた。
お味のほうは。
……柔らかな甘い塩気が舌にじわりと染み渡る。
胃袋にやわらかく滑り落ちてゆく感触がくすぐったくて心地よい。
いかん、泣けてきそうなほど美味い。
「おいしいよ、これ」
「よかった。お代わりもありますから、ごゆっくりどうぞ」
ごゆっくり、と言われはしたものの、才人はものすごい速さでシチューをがっついていく。
半日強の絶食に加え、胃腸の働きを最高に良くしそうな水分と食物繊維に富んだ朝飯のコンボは、成長期のまだ終わっていない身にはかなりキビシイものがあったようだ。
瞬く間に食べ終え、おかわりを要求する。
シエスタは、ニコニコしながらそんな才人の様子を眺めていた。
「ご飯、貰えなかったんですか?」
おかわりを持ってきた後、そんな風なことを聞いてきた。
「ああ、ちょっと"ゼロ"のルイズってからかってやったら、怒られたんだ。
トラウマでもあんのかな」
「まあ! 貴族にそんなこと言ったら大変ですわよ?」
何やら目を白黒させたシエスタは、どこか咎めるようにそう言うが。
「『貴族』ねぇ。まだ実感ねえんだけど、そんな偉いもんなのか?」
「勇気がありますわね……」
不思議なものを見る目をされてしまった。あと、唖然としているのが表情からよくわかる。
いや、そんな顔するけどさ。仕方がないじゃないか?
「貴族なんてこっち来るまで聞いたこと……くらいはあったけど、見たことなかったからな」
「こっち、ですか?」
シエスタの表情が、きょとん、と変わった。
ぱちくりしている辺りがなかなか可愛らしい。
が。
さっきも思ったが、説明するのは半ば諦めているし、面白い話でもないし、何よりも面倒くさい。
ちょうど二皿目も空になったことだ。誤魔化すことにしよう。
「なんでもないよ。シチューお
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