些細ささいな昼下り
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ケーキで充分だ。
ギーシュの友人たちが次々に席を立ち、ワクワクした顔でギーシュの後を追いかけていく。
一人だけテーブルに残ったのは、俺の見張りか? 逃げやしねえよ。
さて、そんじゃあさっさと配っちまうか。
どうせあと15人ぐらいだ。
「さ、早く配っちまおうぜ、シエ……、ん?」
なんか、シエスタがぶるぶるがくがくと震えてる。
「大丈夫だって。あんなひょろっちいヤツ相手に負けるかよ」
「あ、あなた、殺されちゃう……」
「は?」
なんでさ?
「貴族を本気で怒らせたら……」
それだけ言い残して、シエスタは食堂から逃げるように出て行ってしまった。
……はさみ持ったまんまで。
どうすりゃいいんだ、このケーキ。
「……なんなんだよ?」
あいつ、そんなに強いってのか?
そんなことを考えてたら、後ろからルイズに小突かれた。
「なにすんだよ!」
「あんた! 何してんのよ! 見てたわよ!」
「なにが?」
「なにがじゃないわよ! なんで勝手に決闘なんか決めちゃってんのよアンタは!」
なんでって。
「いや、あいつが、なんかこう。やたらとムカついたんだよ」
はぁ、とルイズがため息をついて、やれやれと肩をすくめた。
「謝っちゃいなさいよ」
「なんで?」
「怪我したくないんなら、謝ってきなさい。
忠告よ。今なら許してくれるかもしれないしね」
「謝る? なにをだよ。元はと言えばあいつの浮気が原因なんだぞ? 大体だな……」
「いいから」
ルイズは強い調子で言ってきたが……、全然、さっぱり、まったくもって何もよかねえ。
「いやだ」
「わからずやね……。
あのね? 絶対に勝てないし、あんたは怪我するわ。いえ、怪我で済んだら運がいい方よ!」
「あのな? そんなの、やってみなくちゃわかんねえだろ」
「ちゃんと聞きなさい! いい? メイジに平民は絶対に勝てないの!」
知ったことかよ。
「ヴェストリの広場ってどこだ?」
ルイズを無視して、居残ったギーシュの友人の一人に尋ねる。
「こっちだ、平民。
……ってこら。そのトレイどうする気だ」
ん?
あ、そうか。ケーキか。
えーと……、あ、ちょうどいい所に居た。
「悪いけど、これ頼めるかな」
進行方向上で立ち止まって固まってたメイドの女の子にお願いする。
「え? あ、あの……」
「よろしく」
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