些細ささいな昼下り
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たじゃないか。
話を合わせるぐらいの機転があってもよいだろう?」
堂々と、そう責めてくるギーシュだが。
そう言われてもな。
「あのな。二股かけてたことが問題だろうが。俺に責任押し付けるなよ。
あと、俺は給仕じゃねえ」
「ふん……、ああ、きみは……」
ギーシュは、なにやらバカにしたように鼻を鳴らした。
「確か、あのゼロのルイズが呼び出した、平民だったな。
平民に貴族の機転を期待したぼくが間違っていたよ。もう行きたまえ」
……ぴきり、と来た。なんだ、こいつは。
見栄えだけはいいがキザでバカなナルシスト野郎に、んなこと言われる筋合いはねえ。
「うるせえよキザ野郎。
貴族の機転とやらは言い訳もロクにおもいつかねえことを言うのか?
それとも、そんな言い訳もロクに出来ねえてめえは貴族じゃねえとでも?」
反発した勢いで、一気に口走った言葉。その一言が、ギーシュにも火をつけた。
「どうやら君は、貴族に対する礼を知らないようだな?」
「あいにく、貴族なんぞ一人もいない土地から来たんでね?」
少しでも野郎に通じるよう物腰を模まね、右手を天井に向け掲げ、ちょっと無理のあるキザったらしい仕草と声色で言葉を買ってのけた。
ギーシュが、ゆらりと立ち上がる。
「よかろう、君に礼儀を教えてやろう。ちょうどいい腹ごなしだ」
「おもしれえ」
歯を剥き、間近でがっちりと睨みあう。
だいたい、こいつは第一印象からして気にいらねえ。
責任は俺に丸投げしようとしくさった。
そもそも、二股なんぞかけていやがった。
俺は彼女の一人も居なかった上にこんな世界に拉致られたっつうのに、だ。
……さすがに、もう、色々ガマンの打ち止めだ。
憂うさ晴らしにはちょうどいい。
徹底的にぶん殴ってやる。
「ここでやんのか?」
ギーシュの背はどうも俺より少し高いらしい。
間近で睨みあうのは首がちと疲れるんだが、体はひょろひょろしてて、力はなさそうだ。
色男、金と力はなかりけり。
よく言ったもんだな。俺もそんなに喧嘩は強くないが、こいつ相手ぐらいなら勝てそうだ。
が、ギーシュはくるりと体を翻した。
「逃げんのかよ」
「逃げる? ふざけないでもらおう。貴族の食卓を平民の血で汚せるものか。
ヴェストリの広場で待つ。モンブランを配りおえたら、来たまえ」
ああ、モンブランだったか。
こんなヤツに教えられるなんぞ、実に腹が立つ。
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