暁 〜小説投稿サイト〜
fate/vacant zero
些細ささいな昼下り
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ザったらしいと判断した理由?

 生憎俺は、薔薇ばらを胸ポケットに挿すヤツを普通と思えるほど奇抜な常識は持ち合わせていない。


「なあ、ギーシュ! お前、今は誰とつきあっているんだよ!」

「誰が恋人なんだ? ギーシュ!」


 キザったらしい生徒メイジは、どうやらギーシュというようだ。

 彼は、すっと唇の前に指を立てる。


 ……本物だ。本物がいる。



「つきあう?
 ぼくにそのような特定の女性はいないよ。薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね」


 自分を薔薇に例えやがった。


 間違いない、こいつはキザだ。

 救いようのない真性ほんものだ。


 見てるこっちが恥ずかしいくらいの自己愛主義ナルシストっぷりである。


 才人は頼むから死んでくれと言いたくなったが、根性で耐えた。

 とそのとき、ギーシュのポケットから何かがこぼれたのに気付いた。


 この距離だとよくは見えないが、硝子の小瓶みたいだ。

 キラキラと中の液体が複雑な紫色に揺らめいている。

 コイツは気に入らないが、落とし物は落とし物だ。

 通路に落ちっぱなしでは足を滑らしそうな大きさだし、教えてやるべきだろうか。



 ……教えなくちゃダメか?



 …………しょうがないか。シエスタが踏んづけて転んだりしても難だ。


 渋々ながら、ギーシュバカに声を掛けることにする。



「おい、ポケットから小瓶が落ちたぞ」


 しかし、ギーシュは反応を返さない。

 聞こえなかったかと、もう一度声をかけてみる。


「おーい。落し物だぞ」


 が、やはり反応しないギーシュ。

 それどころかさらに声を張り上げ、周りの友人を沸かしている。



 ……コノヤロウ。



 再三再四言おう。才人は義理堅い。


 だがつまりそれは、逆のことも言えるわけで。

 好意に無頓着な者は、心底嫌いだったりするのだ。



 才人はシエスタにトレイを預けると、しゃがみこんで小瓶を拾う。

 ソレをテーブルの上、ギーシュの目の前に置きながら、やや演技っぽくにっこりとした口調で話しかけた。


「落とし物だよ、色男」


 "よ"の辺りで?マークが付くか付かないかぐらいに声を上ずらせるのが重要なところアクセントである。


 そうしてようやく振り向いたギーシュの顔は、苦々しげに歪んでいた。

 才人を見やると、置かれた小瓶を持ち上げ、才人に押し付けようとする。



「これは、僕のものではない。君は、いったい、何を言っているんだね?」


 才人はもちろん受
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