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fate/vacant zero
些細ささいな昼下り
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窓枠にはめこんでいる真っ最中だから。

 流石にコレやりながら振り向いたら危ねえだろ。二次災害が出ちまう。


「はぁ……、なんでわたしがこんなことやらされなくちゃいけないのよ。こんなの貴族のすることじゃないわよ」


 ルイズはブツブツグチグチネチネチと口ばかりよく動いて、肝心の掃除の方がまったく進んでない。

 そりゃ、あんだけ腕から力抜いて拭いてたんじゃ汚れも落ちんわな。

 拭くってか撫でるだけで汚れが落ちたらそれこそ魔法だろうよ。


「いいから、さっさと手ぇ動かせ。やらなきゃいつまで経っても終わんねえぞ」

「むぅー」


 そんな可愛らしくむくれてもダメ。

 だいたい、愚痴りたいのは俺のほうだっつうに。

 なんで俺がお前の尻拭いやらされなきゃなんねえんだ、って使い魔だからか。


 蓄瘴ちくしょう。


 はぁあ、と重苦しくため息をつき──この二日でやたらと頻度が増えた気がする──机と同じく煤すす汚れてしまっている床を拭うべく、雑巾を取りに行った。













 その頃。

 トリステイン魔法学院に奉職して二十年の教師、ミスタ・コルベール……、否いや。

 魔法使いメイジ"炎蛇"のコルベールは、過日の『春の使い魔召喚』においてルイズ・ド・ラ・ヴァリエールが喚び出した、平民の少年のことが気にかかっていた。

 正確にいうと、その少年の左手に現れたルーンのことが気になって仕方ないのであった。



 それは、あまりに珍しいルーンであった。

 だが、かつて居た職場で、一度だけ見たことがあったような憶えがあった。

 その時は実物ではなく文献の内であったが、それでも確かに見覚えはあったのである。

 それ故にこうして、先日の夜から図書館に引き篭もって、それらしい書物を片っ端から洗いざらい調べているのであった。

 当然ながら徹夜である。





 トリステイン魔法学院の図書館は、食堂と同じく本塔の中にある。

 その蔵書量は人生を捨てる呆れと諦めをもって挑んでもなお余りあるほど多く、おおよそ30メイル約30メートルほどの高さの本棚が通路すら惜しんで並んでいる様は、壮観を通り越して失調感すら覚えるほどだ。

 まあ、それもそのはずである。

 この図書館には、始祖ブリミルの時代の書物すらも詰め込まれているのだから。

 “2000年に及ぶハルケギニアの全容がそこに在る”と噂されるほどに、歴史ある図書館なのだ。


 彼が居るのは、図書館の中でも奥まった一区画。

 教師のみが閲覧を許される、『干草フェニアの図書群』の中である。


 生徒たちも自由に閲
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