ゼロのルイズ
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、と才人は認識した。
学院に所属する全ての魔法使いメイジ――生徒も先生もひっくるめて――は、三食の全てをここで摂るらしい。
生徒たちのたむろするフロアから少し目線を上に向ければ、ロフトになった中階も見える。
大人の魔法使いメイジたちが、そこで歓談に興じているのが見えた。あれが教師陣なのだろう。
すべてのテーブルは緋色のクロスが掛けられ、幾つもの燭台ろーそくが立てられ、艶あでやかな花が飾られ、籠かごに盛られたフルーツに彩られている。
そして才人は過剰なほど豪華な食堂にあっけに取られ、口をぽかんと開けて立ち尽くした。
ルイズはそれに気づくと、鳶色の瞳をイタズラっぽい光に乗っ取られ、得意げに指を立てて語りだす。
「トリステイン魔法学院で教えるのは、魔法だけじゃないのよ」
「はぁ」
「魔法使いメイジはほぼ全員が貴族なの。
『貴族は魔法をもってしてその精神となす』の信条のもとに、貴族たるべき教育を存分に受けるのよ。
だから食堂も、貴族の食卓にふさわしいものじゃなきゃいけないの。わかった?」
「はぁ」
「ホントならあんたみたいな平民はこの『アルヴィーズの食堂』には一生入れないんだけど、一応入れるように取り計らってもらったのよ。感謝なさい」
「はぁ」
才人は未だにぼけッと口を開いていたが、よく分からない単語が説明の中にあったのに気づいた。
「アルヴィーズって何だ?」
「小人の名前よ。周りに小さい像がたくさん並んでるでしょ?」
首を振って辺りを見回すと、確かに壁際には精巧な小人の彫像が並んでいる。ちなみに木彫りだ。
「へえ……、今にも動き出しそうだな、あれ」
「あら、よく知ってるわね」
「へ?」
動くの? と、才人は勢いよくルイズに振り向いた。
ルイズは腕を組み、椅子の手前に突っ立って言う。
「夜になったら踊ってるわよ、あれ。
それはいいから、椅子を引いてちょうだい。気が利かないわね」
首をくいっとかしげ、長い髪がさらりと揺れた。
まあ、レディーファーストぐらいは才人でも知っていたので、大人しくルイズのために椅子を引いてやる。
ルイズは礼も言わずに腰掛ける。才人も隣の椅子を引き出し、そこに座った。
「……朝からコレ食うのか?」
才人は正面に並べられた無駄に量のある料理の群れを眺めて、ぽつりとこぼす。
フランスパンみたいな、でも柔らかそうなパンがこれでもかと突き刺さったバスケットが置いてある。
でかい鳥のローストが威圧してくる。
鱒ますの形をしたパイが鎮座して
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