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fate/vacant zero
ゼロのルイズ
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リエール。錬金したい金属を、強く心に思い浮かべるのです」


 こくりと可愛らしく頷いて、ルイズが手に持った杖を振り上げる。

 唇を軽くへの字に曲げ、真剣な顔で呪文を唱えようとするルイズは、この世のものではないような愛らしさと凛々しさを備えていた。


 本性を知っていても、少しぐっとくるくらいには。


 窓から差し込む朝の光に、ルイズの淡いブロンドがよく映える。

 きらきらと光る鳶色の瞳、高貴さを感じさせる形のいい鼻。実に良い。


 あれでもう少し思いやりと胸があれば極上なんだけども。


 もったいねぇなぁ、と思う。

 いくらなんでも、あの性格じゃ願い下げだ。



 ふと、視界の隅で何かが動いた気がした。

 そちらに目をやると、昨夜の女の子が、机の下にもぐって本を開いていた。


 何やってんだ? と思ったとき。




 教卓が、まばゆい光とともに爆発四散した。






 至近の爆風をモロに受けたルイズとおばさん先生は壁に叩きつけられていた。

 前の方に居た生徒たちのうち、机に潜りそこなったらしい眼鏡をかけた優男風の男子生徒が、使い魔のカラスと一緒に近くまで吹き飛んできている。

 使い魔たちは急な爆発に驚いたらしく、キュルケの火蜥蜴サラマンダーは叩き起こされたことに怒って口から炎を噴き、翼虎マンティコアはびびったのか大窓をぶち破って外に飛び出し、大蛇が何事かと破れた窓から侵入し、進路上、というか俺の目の前をよたよた飛び去ろうとしていたカラスをめがけて――――



「ってなにやってんだ!?」


 丸呑みしようと大口を開けたヘビの後ろ頭を転がってた本で思わずしばきたおして食餌を妨害した。


 ってあれ、なんかこっち見てる。



 見ラレテルヨ?













 阿鼻叫喚の教室の中、いろんな叫びが木霊する。



「だから言ったのよ! あいつにやらせるなって!」


 と金切り声になったキュルケの怒鳴り声。いや聲こえ。



「もうヴァリエールは退学にしてくれよ!」


 と怒りと呆れに満ちたさっきの丸っこい……グランドプレだっけ?の嘆き声。



「シャンスージ! シャンスージ、大丈夫だったか!」


 とさっきのカラスを抱きしめて壁際へ脱兎する眼鏡付き優男。



 ……それと。



「ぅわぁあああああ!!」


 とぶん殴った大蛇から逃げ回る俺の絶叫!



 いや、そりゃ確かにぶん殴ったけど!

 俺のせいじゃねえ! ってーかおまえのせいじゃねえか!

 見境
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