ゼロのルイズ
[12/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、シュヴルーズ先生が小振りな杖を一振りすると、二人は足の力が抜けたように、すとんと椅子に腰を落とした。
「ミス・ヴァリエール。ミスタ・グランドプレ。みっともない口論はおやめなさい」
ルイズはしょぼんとうなだれている。さっきまで見せていた生意気な態度はどこかへと吹っ飛んでいた。
グランドプレって誰だ……、って一人しかいないか。マリコルヌってヤツのことだろう。
「お友達をゼロだのかぜっぴきだの呼んではいけません。わかりましたか?」
「ミセス・シュヴルーズ。ぼくのかぜっぴきはただの中傷ですが、ルイズのゼロは事実です」
くすくす笑いが所々から漏れる。
シュヴルーズ先生は、厳しい顔で教室を見回し、再び杖を一振りした。
くすくす笑いをしていた生徒たちの口に、どこからともなく現れた赤土の粘土がぴったりと吸着する。
「あなたたちは、その格好で授業を受けなさい。それでは、授業を始めますよ」
ぴたりとくすくす笑いは収まった。
わりと物理的な意味で。
シュヴルーズ先生は、こほん、と仰々しい咳をすると、杖を振った。
すると、机の上に何個かの石ころが転がった。
「私の二つ名は"赤土"。赤土のシュヴルーズです。
『土』系統の魔法をこれから一年、皆さんに講義します。
魔法の四大系統はご存知ですね? ミスタ・グランドプレ」
「は、はい。ミセス・シュヴルーズ。『火』『水』『風』『土』の四つです!」
シュヴルーズ先生が大きく頷く。
「そうです。それに今は失われた『虚無』の系統を合わせて、五つの系統があることは、皆さんも知ってのとおりです。
その五つの系統の中でも『土』はもっとも重要なポジションを占めていると私は考えます。
……これは私が『土』系統だから、というわけではありませんよ?
単なる身びいきではないのです」
シュヴルーズ先生は、再び重々しい咳をした。
なんか空々しいような感じがするが、そこはスルーしてあげよう。
「『土』系統の魔法は、万物の組成を司ります。
この系統が無ければ、金属を作り出すことも、鍛え上げることもできません。
大きな石を切り出して建物を建てることも出来なければ、農作物の成長も大きく遅れることでしょう。
このように、『土』系統の魔法は皆さんの生活に密接に関係しているのです」
才人は、興味深く耳を傾けていた。
話を聞く限りだと、やはりこちらの世界には、科学技術の類たぐいはまったくないらしい。
ルイズが威張る理由や、電気を知らなかった理由がなんとなく分かった気がした。
「今から皆さんには、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ