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fate/vacant zero
ゼロのルイズ
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、シュヴルーズ先生が小振りな杖を一振りすると、二人は足の力が抜けたように、すとんと椅子に腰を落とした。



「ミス・ヴァリエール。ミスタ・グランドプレ。みっともない口論はおやめなさい」


 ルイズはしょぼんとうなだれている。さっきまで見せていた生意気な態度はどこかへと吹っ飛んでいた。

 グランドプレって誰だ……、って一人しかいないか。マリコルヌってヤツのことだろう。


「お友達をゼロだのかぜっぴきだの呼んではいけません。わかりましたか?」

「ミセス・シュヴルーズ。ぼくのかぜっぴきはただの中傷ですが、ルイズのゼロは事実です」


 くすくす笑いが所々から漏れる。


 シュヴルーズ先生は、厳しい顔で教室を見回し、再び杖を一振りした。


 くすくす笑いをしていた生徒たちの口に、どこからともなく現れた赤土の粘土がぴったりと吸着する。


「あなたたちは、その格好で授業を受けなさい。それでは、授業を始めますよ」


 ぴたりとくすくす笑いは収まった。

 わりと物理的な意味で。



 シュヴルーズ先生は、こほん、と仰々しい咳をすると、杖を振った。

 すると、机の上に何個かの石ころが転がった。


「私の二つ名は"赤土"。赤土のシュヴルーズです。
 『土』系統の魔法をこれから一年、皆さんに講義します。
 魔法の四大系統はご存知ですね? ミスタ・グランドプレ」


「は、はい。ミセス・シュヴルーズ。『火』『水』『風』『土』の四つです!」


 シュヴルーズ先生が大きく頷く。



「そうです。それに今は失われた『虚無』の系統を合わせて、五つの系統があることは、皆さんも知ってのとおりです。
 その五つの系統の中でも『土』はもっとも重要なポジションを占めていると私は考えます。

 ……これは私が『土』系統だから、というわけではありませんよ?
 単なる身びいきではないのです」


 シュヴルーズ先生は、再び重々しい咳をした。
 なんか空々しいような感じがするが、そこはスルーしてあげよう。



「『土』系統の魔法は、万物の組成を司ります。
 この系統が無ければ、金属を作り出すことも、鍛え上げることもできません。
 大きな石を切り出して建物を建てることも出来なければ、農作物の成長も大きく遅れることでしょう。
 このように、『土』系統の魔法は皆さんの生活に密接に関係しているのです」


 才人は、興味深く耳を傾けていた。

 話を聞く限りだと、やはりこちらの世界には、科学技術の類たぐいはまったくないらしい。

 ルイズが威張る理由や、電気を知らなかった理由がなんとなく分かった気がした。


「今から皆さんには、
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