ゼロのルイズ
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けていない。
使い魔は…………どうも教室には居ないみたいだ。
外か? とか、友達いないのか? とか、昨夜のアレは怒ってたんじゃなくて素だったのか? とか。
そちらを見たままとりとめもなく現在進行形で考えていると、後ろの扉が開いて誰かが入ってきた。
紫色のローブに身を包み、つばが広く天辺が細い、魔法使いのイメージにぴったりの黒帽子を被った中年の女性だ。
ふくよかな頬や垂れ気味のまなじりが、優しい雰囲気を漂わせている。
「あの人も魔法使いなのか?」
「当たり前じゃない」
ルイズに尋ねると、即答されてしまった。そりゃそうだ。
教壇についた先生は一通り教室を見回すと、満足そうに微笑んで言った。
「皆さん。春の使い魔召喚は、大成功のようですわね。
このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に様々な使い魔たちを見るのが、とても楽しみなのですよ」
なるほど、と思わず共感した。
これだけいろんな種類の生き物たちを幻実(ファンタジー)問わず見れるというのは、実に楽しいものだと思う。
ちょっとした動物園気分の才人は、どうも自分も使い魔みられるがわだということを忘れている気がする。
「おやおや、随分変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール」
シュヴルーズが才人を見てとぼけた顔で言うと、教室中がどっと笑いに包まれた。
当のルイズは顔を俯うつむけて真っ赤になっている。
「ゼロのルイズ! 召喚できないからって、その辺歩いてた平民を連れてくるなよ!」
そんな嘲声をあげたフクロウを肩に乗せている生徒の方を、きっと振り向き立ち上がるルイズ。
長い髪を揺らし、可愛らしく澄んだ声で怒鳴る。
「違うわよ! きちんと召喚したもの! こいつが来ちゃっただけよ!」
「嘘つくな! 『召喚サモン・サーヴァント』ができなかったんだろう?」
ゲラゲラと笑う生徒につられ、教室中がまた笑いに溢れかえった。
教室で笑っていないのは笑われている本人のルイズと才人、ミス・シュヴルーズ、あとは周りを完全スルーで読書真っ最中の青髪の少女くらいであった。
「ミセス・シュヴルーズ! 侮辱されました! かぜっぴきのマリコルヌがわたしを侮辱しました!」
握り締めた拳で、ルイズが机を叩いた。
「かぜっぴきだと? ぼくは風上のマリコルヌだ! 風邪なんか引いてないぞ!」
「あんたのガラガラ声は、風邪引いてる時みたいな響きがするのよ!」
マリコルヌと呼ばれた生徒も立ち上がり、ルイズと真っ向から睨みあった。
一触即発状態に突入するかと思ったが
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