五話 彷徨う自分/ワンダーハット@
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「おい!お前たち、早く下がれ!」
「空いてる奴は早くパナソレイ様を呼んでこい!」
衛兵が大挙し(町の防衛大丈夫か?)
「すげぇ…………ドラゴンスレイヤーかよ」
子供が憧憬と共にトカゲを眺めて呟き。
「やっぱりな、玄人はやるやつだと、俺は知ってたぜ!」
なんか一度買い物した店のおじさんが、ドや顔で周りに自慢する。
城門近くに行っただけで、この騒ぎである。
しかも、一時間ほど足止めをくらったあとも、ギルドへは行けなかった。
赤い絨毯の敷き詰められた、明らかに富裕層が住むであろう屋敷、そこに直接案内を受けたからだ。
自身が登録しているタグ…………本人証明のようなもので冒険者ギルドと確認がとれると、町の市長?とかいうふくよかな(オブラート)パナソレイという人の所まで、連れていかれたからである。
非常に丁寧に案内をされた部屋で、オークとオーガを悪魔合体したらこうなるだろうなあ(比喩表現)という出で立ちをしているパナソレイの話に相槌を打ちながら、玄人は思う。
(ふむ。なるほど、少なくともこの街では、『レベル30前後を刈っただけで、一流扱いか』)
明らかな特別待遇に、されど微塵も浮かれずに、玄人はそう、分析した。
実際、非常に歓待されているのは判るしありがたいのだが。
先程のレベルの話同様、自分の立ち位置が、結局『世界全体から見てどれくらいなのか』が解らない限り、素直に喜べないのである。
「んんっ…………ブヒッ、それで、そのドラゴンなのだが、どうして『偵察せよ』という任務なのに遺体があるのかね」
豚のような声を言葉に混ぜながら、されど知性を宿す瞳はそのままに、パナソレイは問うた。
(このおっさん、面白い格好なんだが、なんか『やり手』そうなんだよなあ。面倒くせえ)
先程から、たかが冒険者ごときに質問するのに、全て目線が対等。
分からないことははぐらかす素直に聞く。
(そのような態度を取る『権力者』とか面倒くせえ)
誉めそやすだけのおべっか使いや、逆に権力を振り翳すだけのアホなら、適当にあしらえば良い。
だが、このような『権力は振り翳すのではなく効果的に使うもの』って分かっている相手に適当に相手をするのは下策。
いつ『言質』などをとられて『貸し』を作らされるのか分からないからだ。
まあ、言いたいことはわかる。
『いくら強くても、いたずらに戦闘を繰り返す戦闘狂はいらない』ってことだろ。
だから、玄人は『欲しがる答え』を返す。
「付近の村を襲うために滑空している所を不意をうって倒しました。王国の民である村民の命を守るため、仕方がなかった」
優等生の答えを。
まあ、実際は『柔かったプラス、襲ってきたの
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