五話 彷徨う自分/ワンダーハット@
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に尋ねる。
「クレマンティーヌの話じゃ、帰り道に獲物共々強盗する輩が出るって話じゃん、何で出ないの?」
それとなく聞いた言葉に、何故かクレマンティーヌは頭を押さえながら、答えた。
「ダーリン、貴方が引いている獲物は?」
「大振りなトカゲ」
「ド・レ・イ・ク!」
クレマンティーヌが青筋を立てながら、五メートル四方の板(紐付き)一杯に結わえられたトカゲ(通称ドレイク)を指して、言葉を重ねる。
「こんなもん一人で引きずってる相手に、絡む訳無いでしょう!」
またまた、冗談を。
こんなトカゲ(推定レベル30)なんて、ユグドラシルの上位魔法使いなんか、某大魔王みたいに、『今のはメラゾーマではない、メラだ(ガチ)』といいながら、的当て感覚で消し炭にするレベルなんだが。
先程からドラゴン擬きを一刀両断しても、勘違い主人公の如く謙遜しているのも、これが原因である。
つまりは(この地方だけかもしれないが)プレイしていたユグドラシル世界と、酷似したこの世界、あまりに『レベル差』がありすぎるのである。
んー、いまいちこの世界の『平均』レベルが分からん。
とりあえず、NPCモンスターに『偵察』させた感じでは、レベル50以上は少ないのは分かるんだが…………
『設定好き』な仲間のおかげで、玄人はNPCの数名の能力を利用して、レベル50より上か下か、は確認する術をもっている。
しかし、逆に言えばそれだけ。
レベルによらないで玄人を打倒しうるモノ、強力な『ワールドアイテム』などを調べられないのは勿論、この世界で生まれた生物のもつ専用スキル『祝福』によるレベル差を覆す知的生物についても、やはり調べることは現状では出来なかった。
やっぱ、あまりに情報が少なすぎる。
ガラガラと音を立てて動く台車を、片手で掴んだ縄で引き釣りながら、玄人は思考の海に沈んだ。
(やはり、酒場やクレマンティーヌから聞いた、例の『祝福?』持ちっていうのがいるんかな?)
聞いた話だと、他人のレベルやスキルを判別できる『祝福』もちが、稀に誕生するらしい。
(そいつに上手く恩を売り…………懐柔できれば…………)
無論、同様に転生したプレイヤーも驚異として、考えてはいる。
だが、その場合ある程度ユグドラシルに慣れた時点でレベル50ラインを越えない奴、というのは考えにくい。
実際、ゲームにある程度慣れました、くらいで、レベルは50〜60は軽くいくからである。
で、その場合空を飛ぶ『あいつ』のセンサーにかかる、と。
遙か高く空を飛ぶ、『ソレ』をちらりと見ながら、玄人は世話になっている町『エ・ランテル』に足を進めた。
…………なんか、クレマンティーヌが正しかったらしい。
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