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ある晴れた日に
187部分:さくらんぼの二重唱その五
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さくらんぼの二重唱その五

「してるし」
「本当に?」
「嘘は言わないよ」
 こう答えるのだった。
「本当にね」
「だったらいいけれど」
「それで少年」
 凛が早速チョコレートケーキを手に持っていた。
「ケーキ幾つあるの?」
「昨日どういうわけか仕入れる数が多くてね」
「それで?」
「五十あるわよ」
 こう答えたのだった。
「五十。だから一人二つは充分にあるから」
「結構あるのね」
「うちのお店でケーキって売れ行きいいのだけれど」
 どうやら彼女の店でも人気メニューらしい。
「それでも。数が多過ぎて」
「処分に困ってたのね」
「普通はあれなのよ」
 明日夢は凛に応えてさらに言う。
「バイトの人達に余ったのをあげてそれでおしまいだけれど」
「うわ、それって凄い役得」
 静華は苺と白い生クリームのケーキを箱から出していた。
「山月堂のケーキ貰えるの?」
「他にもシュークリームとかもあるわよ」
「凄いわね」
「シュークリームも持って来てるし」
 見ればそれもあった。そっちは何故か江夏先生と田淵先生が二人で空けている。一応監督という形で担任も着ていたのだが実は今まで黙って見ているだけだった。
「それも数間違えて」
「それで今回持って来れたのね」
「そういうこと」
 そういう事情だったのだった。
「味は落ちていないから安心して」
「っていうか凄く美味しい」
 咲はモンブランのタルトを食べていた。
「こんなに美味しかったの、山月堂のケーキって」
「っていうかあんた今まで食べたことななかったの?」
 茜はチーズケーキを食べながらその咲に問うた。
「あんたの許婚ってその山月堂の息子さんなのに」
「和菓子はあるのよ」
 それはあるという咲だった。言いながらさらにタルトを食べる。
「そっちはね」
「そうなの」
「教会でもあるし」
「教会って!?」
「だから。天理教の教会よ」
 そっちであった。
「八条分教会よ」
「ああ、あそこね」
 茜はそれだけで話がわかった。もう知っているのだ。
「あんたがいつも行ってるその教会ね」
「八条グループの総帥さんも信者さんの」
 咲の父は八条デパート本店の重役であり兄もそこに勤めている。だから縁があるのである。
「そこのね。教会でも山月堂のお菓子のお供え多くて」
「あんたそれを貰ってたの」
「いつも。頂いてて」
 咲は実に楽しそうに話す。
「それで和菓子は。慶彦君もいつも御馳走してくれるし」
「何て羨ましい奴なんだよ」
「あそこの和菓子食べ放題!?」
「どんだけ恵まれてるのよ」
 皆このことには少しやっかみを感じた。
「だから。和菓子はいつもだったけれど」
「それでもケーキはなかったの」
「ええ。今がはじめてよ
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