第三十六話 バロメッツのバロット
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ァリン達が料理の支度をすることにした。
「卵に…、野菜…、夢魔…。うーん。何作ろう?」
「魚は?」
イヅツミが聞いてきた。
「もうないよ。」
「米は?」
「もうあんまりないよ。」
「もっと他にマシなモノはないのか?」
「これで全部だよ。」
「嘘吐け! 隠しているだろう!」
「嘘じゃないよ。私達はね、魔物を食べてここまで来たんだよ。慣れないとイヅツミの体にも悪いよ?」
「イヤだ! 私は食べたい物しか食べない!」
「あのね。イヅツミ。何事も慣れが必要なんだよ? イヅツミが食べてる物だって、過去の人達が毒味してきて毒かどうか確かめてきたんだよ?」
「うるさいうるさい! じゃあ、アレは何だ!」
そう言ってイヅツミが指差した先には……。
「あ…、バロメッツ。」
それは、植物の上に羊が生えているという異形だった。
「ああ…もう、どうしてこんな時に…、あのね、イヅツミ、バロメッツは羊じゃ…。」
「御託はうんざりだ!! もういい、私は羊を捕まえる。」
「もう…。」
「あれはいいんだ…。ねえ、ファリン、バロメッツって魔物?」
「えっとね…。魔力を養分としているのは違いないけど、害はないよ。でも…。」
ファリンは、杖を握り、前に出た。
「羊を目当てに肉食の魔物が来る! 危険だわ!」
「ええー!」
ファリンは、急いで、休憩地点から飛び降りた。
マルシルも慌てて追いかけるが、滑り落ちた。
イヅツミが、四つん這いになって、ジリジリとバロメッツに近づく。しかし、ふいに止まる。
「早く…、早く羊を収穫して…。あっ!」
そうこうしていると、ダイアウルフの群れが現れた。
「逃げよう、イヅツミ! イヅツミ?」
ファリンが杖を構えイヅツミの方を見たときには、イヅツミはいなかった。
マルシルが杖を探しながら、尻をさすり、木の枝を手にしたとき、別の通路へと進んでいこうとするイヅツミを見つけた。
慌ててマルシルが追いかける。
その間に、ファリンは、切り裂く魔法を放ちながらダイアウルフの群れから距離を取り、チルチャックが弓矢で援護した。
しかし、センシが動けない今、危険だと判断したファリンが咄嗟に、狼の真似をしてダイアウルフの群れを威嚇。その迫力に、ダイアウルフの群れは、去って行った。
バロメッツの羊を奪って……。
やがてマルシルがイヅツミを連れて戻ってきた。
「よかった、無事で!」
「ふん…。」
イヅツミは、プイッとそっぷを向いた。
腕を押さえている。腕を覆っている篭手に噛み跡があり、ダイアウルフに襲われたことを物語っていた。
「羊は取られちゃったけど…。仕方ないから。」
ファリンは、別の
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