暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
磯風に教える、提督流オトコ飯・2
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』のオムライスは生まれた当時からケチャップライスを薄焼き卵で包んだ今のオムライスに近い物だったらしいが、『煉瓦亭』のオムライスはちと違う。

 『煉瓦亭』で生まれたオムライスは当初、『ライスオムレツ』という名前で、卵とご飯、それに細かく刻んだ具材を入れて混ぜ合わせ、それを焼いてオムレツ型に整えた料理だった。当時は狭い調理場で食べる為の賄い料理だったらしいが、客の要望で店に正式なメニューとして出すようになったらしい。ちなみにだが、『煉瓦亭』では『元祖オムライス』という名前で今も当時のメニューが食べられる……らしい。俺は行った事ねぇから知らん。

「でもって、今回教えるのはオムライス……というよりさっきの話の中に出てきた『ライスオムレツ』ってワケよ」

「成る程……それでライスオムレツというのはオムライスよりも簡単なのか?」

「簡単だぞ。混ぜて焼くだけだ」

 まずはボウルに卵を割り入れて溶く。そこに冷やご飯とミックスベジタブル、油を切ったツナ缶を入れて良く混ぜる。ご飯の塊が無くなる位まで混ぜられればOKだ。

「ツナ缶じゃなくてサラダチキンを使う場合はどうするんだ?」

「サラダチキンの場合は手で細かく裂いて解して、ツナ缶と同じように卵やご飯と混ぜ合わせてやればいい」

 良く混ざったら塩、コショウで軽く味付け。仕上げにケチャップかけるからな。軽くでいい。

「後はフライパンに油を引いて熱し、生地を流し込んで焼くだけだ。ほれ」

「わ、私が焼くのか!?」

「お前の料理の練習だろうに。いいからやれ」

「わ、わかった……」

 俺からフライ返しとボウルを受け取った磯風は、フライパンにドボドボと油を入れていく。

「あぁ、入れ過ぎだっての。揚げ物やるんじゃねぇんだぞ」

「し、仕方無いだろう!?やった事がないから適量がわからんのだ!」

「逆ギレすんなっての。……ほれ、こんなもんでいい」

 余分な油は取り分けておく。

「よし、行くぞ……」

 磯風は慎重に、フライパンに生地を流し込んでいく。

「全部入ったら、フライ返しで形を丸く整えて……おぉ、中々上手いじゃねぇか」

 後はホットケーキの要領で、両面を焼き上げるだけだ。

「……まだか?司令」

「まだだ」

 磯風の奴はさっきからソワソワしていて、今か今かと待ち構えている。

「何をそんなに緊張してんだ?お前」

「前から一度やってみたかったんだ、あのホットケーキを返す奴を。だが、浦風達にはやらせてもらえなくて……」

「あ〜……」

 何となく浦風達の気持ちは解る。五月雨のドジ程ではないが、飯マズって連中は大概、そういうテクニックを要求される場面だと悉く何かをやらかす確率が高い。そのせいで
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