ホワイトグリント撃破(前)
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ってしまっているオッツダルヴァにとって、世間一般で最精鋭リンクスによる一大決戦と捉えられているこの作戦は最初から茶番に過ぎなかった。
「こんなことだから、人類は……」
理想が空中分解しているのに切り札を投入してきたラインアーク、本気でこれを切っ掛けに世界を支配できると信じているオーメル本社、最初から援護だけをするつもりでノコノコとやってきた独立傭兵。
すべてを理解している脚本家は、オッツダルヴァを始めとする"旅団"と、静観を決め込んだGAグループ。当事者が必死に踊り狂い、裏事情を知っている傍観者が嘲笑うだけの中身のない演劇。
一瞬頭を振り、オッツダルヴァはステイシスを加速させた。両手に装備した火器を呼び出す。一刻も早く自らまでが偽りであるこの戦場から去るために、英雄の残照を消し去るつもりだった。
汎用性に特化しているホワイトグリントの瞬間火力は低い。例外的にSALINE05の威力は高いが、それ以外は器用貧乏でネクスト戦を短期に終わらせるほどの物ではなかった。
そして、そのアセンブルの影響をモロに受けたホワイトグリントは、決定打を完全に欠いてしまっていた。
『行けるぞ!』
ステイシスに対する螺旋機動を行いながらダブルトリガーでPAを削りに掛かる純白の機体。確かに時折掛かるQBによる攪乱が素早く、FCSでの捕捉で当て続けるのは難しい。
『完全に読まれているというの?』
だが、攻略法はフィオナ・イェルネフェルトの上げた驚愕の声の通りだった。その機動の法則を理解すれば撃ち負けることはない。
「単調すぎるから……」
パターン化していることを見抜ければ大した脅威にはならない。読むまで避けることは困難だが、オッツダルヴァにそれが出来ないとは彼もそのオペレーターも思わなかった。
『どうした、止まって見えるぞ』
第一、動きが重すぎる。支援を前提に組み上げた今回のストレイドと同じ程度の速度しか出ていないのでは、対多数の高機動戦闘には耐えられない。
「……彼も限界か?」
アナトリアの傭兵が粗製だったのは有名だ。10年近くにわたってネクストに乗り続けていた"彼"が、身体と精神の限界を超えていたとしても不思議ではなかった。
『腐っても英雄だ。油断するなよ』
しかし、どっちみち油断できるほど状況はよくない。パターンが限りなく洗練されたせいで下位クラスのネクストなら瞬間的に薙ぎ倒しかねないだけの強さがある。
「了解」
彼がかつて倒した下位ランカーにいた、GA製のダンボール程度では参考にもなりそうになかった。
──敵ネクスト・ストレイド接近。方位320、距離380
「攻撃優先度修正、ストレイドに阻止攻撃」
──敵ネクスト・ステイシス、|ER-O705《レーザーバズー
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