それぞれの拳
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わかった。
「どうした?カミューニ」
「どうもこうもーーー」
彼が言葉を言い切るより早く、大きな震動がクリスティーナを襲う。あまりの衝撃に中にいるものたちは皆転倒していた。
「なんだ!?」
「何が起こってる!!」
細かく押し寄せる震動に壁に掴まりながら状況を理解しようと必死な面々。彼らに伝わるように、大声でカミューニが叫んだ。
「どうもこうもねぇ!!あいつらの戦う力は尋常じゃねぇんだ!!本気でぶつかり合ったらこの距離でも残骸が飛んでくるんだよ!!」
その通りだった。戦闘を開始したティオスと天海。彼の力は壮絶だった。魔力を極限まで高めて攻撃を仕掛けるティオスと自らの強靭な肉体でそれに立ち向かう天海。
その衝撃により、地面は砕け、大地が揺れていた。
「一夜!!ここからすぐに全力で離れろ!!」
「メェーン!!任せたまえ!!」
すぐに操縦席に指示を出そうとした一夜。だが・・・
ドゴォン
クリスティーナに瓦礫がぶつかった衝撃で、大きな穴が空いてしまった。
「なっ・・・」
「しまっ・・・」
壁が壊れたことにより内部に空気が入り乱れる。それにより、バランスを崩してしまっていた魔導士の中でも、壁を掴むなどをできていなかったものたちが外に放り出されてしまった。
「カミュ!!」
「ジェラール!!」
「一夜さん!!」
「ウェンディ!!」
ピクッ
落下した四人の名前が叫ばれた時、一人の少年の体が揺れた。しかし、誰もそれには気付かない。
「俺たちはいい!!早く離れて体勢を整えろ!!」
「だが・・・」
落下していくカミューニはウェンディを抱き抱えながら落下の衝撃に備えるべく体勢を整える。
「ヒビキ!!クリスティーナの指示は任せた!!私も必ず合流する!!」
「先生!!」
力の香りを吸い込み体を巨大化させる一夜。彼は筋肉により着地のダメージに耐える方法らしい。
「エルザ!!カミューニたちは俺があとで連れていく!!だから気にせず逃げろ!!」
ジェラールはそう言って持っていたマントを広げて落下速度を下げていく。残されたものたちはその姿を見届けることしかできなかった。
「こうして君と向き合うのは何年ぶりだろう」
静かな声で問いかけるティオス。その表情は少しずつではあるが、引き締まっているようだった。
「4年ぶりくらい・・・だったか」
「そうか・・・もうそんなに立つのか」
まるで久々に再会した友と会話するかのように穏やかな様子の二人。しかし、実際にはどちらの思考も歪みに歪みまくっていた。
「寂しいね、君ともう会えないと思うと」
「あぁ・・・そうだな
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