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ヒュアデスの銀狼
SS6  悪い子(魔女)は、オオカミのお腹の中
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 …自分がやるべき事は変わらない。
 プチプチと鳴くハート型の魔女が、電源コードのような腕を伸ばしてきた。
 カズは、それを前足で切り裂き、そして魔女に飛びついた。
 暴れる魔女を体重を増加させて押さえ込み、噛みつき、さらに前足の爪でズタズタに引き裂く。
「やめてえええええええええ!!」
 その時、かずみの悲鳴じみた叫びが聞こえて、カズはつい手を止めてしまった。
「あいりを殺さないで、お願い!」
 拘束から逃れたかずみがカズの後ろ足に抱きついて引き離そうとした。
 魔女・あいりは、カズの下でプチ…プ…チ…っと弱々しい鳴き声を漏らしている。あと少しで死ぬ。
 カズは、かずみの泣き顔に、魔女・あいりの上からどきそうになったが。
『……それは、できない。』
「どうして!?」
『お前の…ためでもある。』
「えっ?」
 キョトンとするかずみ。
 顔を前へ向けたカズは、下を向いて、口をパカッと開けて、灼熱の火球を吐いた。
 大爆発が起こり、魔女・あいりが炎上する。
「あいりーーーーー!!」
 かずみが泣き叫ぶ。
 そして、カランコロンっと、グリーフシードが落ちた。
 そのグリーフシードを、舌で広い、口に運んでガリッボリッとかみ砕いた。
 駆け巡る痛みを口に出しかけるが耐え、カズは、翼を広げた。途端、中空に結界の穴が空き、そこにカズは飛び込んだ。
「うわああああああああああ!!」
 カズは、かずみの泣き叫ぶ声を聞きながら、結界を通って、カンナの元へ戻った。





***





 ビルの屋上で待機していたカンナのもとへ戻った途端、人間の姿へと戻ったカズは、倒れ込んだ。
「…よく頑張ったね。でも、かずみを奪ってこれなかったから80点ってところかな。」
「…ごめん。」
「でもまあ…、今のかずみを連れてきても、アイツらの所に舞い戻っちゃうだろうし…、真実を知ってもらうしかないか。」
「真実は…辛い…。」
「でも、ヒュアデスの世界に連れて行くためには必要な試練だよ。私が味わったようにね。」
 カンナは、倒れているカズの傍に来て、膝をついた。
「さあ、立って。カズ。まだまだこれからなんだよ。」
「うん…。」
 カズは、無理矢理立ち上がった。
 そして、腰に手を置いて、はあ…っと息を吐く。苦しみは少ない。慣れてきたのだろうか?
「次の手は打ってあるから、さあ、行こう。」
「うん。」
 カンナの手を握り、カズは翼を広げて飛んだ。
「う、ん?」
「どうしたの?」
「腹に……。うぇ。」
 カズは、ペッと何かを吐き出した。

 それは、金色のスプーンだった……。
 胃液と、唾液まみれの金色
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